会社にやってくるカラスと、こっそり交わす心のやりとり

 会社にカラスがいる。

 退職したとある従業員が、毎日パンを与えていたので、ここはえさ場だと思っているようで、今でも時々やってくる。

 カラスにしては珍しく、胸の辺りが少し白いので、私でも個体判別が簡単だ。

 また、どちらがオスなのかメスなのかわからないが、もう1匹パートナーがいる。

 カラス2匹でも、毎日見ていると性格に違いがあるのがわかる。

 白い方(今後は勝手に「しろ」と呼ぶ)はとても人懐っこく、少し離れた所からこちらを向いて、私のことを見ている。

 一方、パートナーの方は、なかなか私に近寄っては来ず、隣の店の看板の上にいつもいる。

 近寄ってくるのにはもちろん訳がある。

 動物好きの私は、前任者を引き継ぎ、最近彼らに〇〇をしているからだ。

 ここ最近で復活したものだが、どんな動物であれ、鳥であれ、これをすると疲れた身体と心に癒やしをもたらす。

 カミサンが頃を見計らって、スーパーBigで、安い食パンを買ってくる。

 家族ぐるみでのお付き合いとなっている。

 よく言われることだが、カラスは本当に頭がいい。

 私が今日はどのような行動をするのかを見通している。この辺りは「ねこ」と同じような感じがある。

 最近では、置き配の荷物を持って行ったりしてしまうらしい。ペットフードなどを買おうものなら、それは彼らにとっては、置いてある餌となる。

 人間が賢くない部分で、彼らは私たちより一枚も二枚も上手だ。

 私たちと同じく、彼らにも生活があり、毎日を一生懸命になって生きて行かねばならないし、子孫を残すために卵を産んで暖め、子育てをしなければならない。この時期は凶暴になってしまうと言われているが、そんなのは鳥として当たり前だろう。

 彼らも彼らで、昨日なんかは日が落ちる寸前に帰ってきたのだが、彼らは夜のお勤めなのか、鉄塔の上でさかんに鳴き声を発していた。

 一応用意した「それ」も、お持ちにはなったけれど、すぐにまた鳴き場?に戻って、仲間と夕方のお勤めに励んでいた。

 最後に私が退社する際には、私の自家用車の上を横切って、森のある方向へと二羽で飛んで行った。

 あまり仲良くし過ぎると、糞の害などで通報されそうなので、「それ」は私も、会社の者には見つからないように、隠れて行うようにしている。

 運送会社の片隅で、今日もこんな駆け引きが行われている。