消費生活アドバイザー試験を受けて:仙台で感じた達成感と静かな幸福

 昨日、消費生活アドバイザーの試験を受けてきた。

 小雨の降る中、三連休と人身事故による電車の遅延でごった返す仙台駅を東から西に抜け、バブルの頃にはカップルで賑わったSS30というビル内にある試験会場へと向かった。

 前回の日記を書いてから、それこそ狂ったレベルで机に向かった。

 最後の3日は、朝5時に起きて勉強、飯食って勉強、昼はテレビもつけずに飯食って勉強、カミサンが帰ってきても勉強、夕飯食って勉強、寝るまで勉強と、それなりに苦しかった。

 理想は全ての過去問を解き、わからない箇所は調べて解説を記入し、それを全てにおいて3回やりたかったのだが、最終的には時間切れ、前日の2時半になっても、三分の一くらいまでしかできなかった。

 思ったレベルにはなっていなかったが、やるだけはやったかなという感じはあった。

 試験なんか久しぶりだ。

 おそらく平成13年に、タンクローリーの運転手になるために必要な、危険物の免許を取得したとき以来なので、25年近くは試験から遠ざかっていることになる。

 試験のシステムは画期的だった。

 受験票などはなく、ビル内にある試験センターでマイナンバーカードを提示し、名前を告げるだけの受付。スマホからメガネケース、スマートウォッチに至るまで、全ての私物を専用のロッカーへ預け、受験会場、というか、受験の部屋へ。

 そこは、扉のないネットカフェのような感じで、パーティションで区切られた中にパソコンが配置されており、指定された自分のブースに行って、専用のパソコンに向かって回答を入力する仕組み。

 消費生活アドバイザーの試験だけではなく、例えば私が待機していた時間には、「今日は野菜ソムリエの試験ですね」なんて言われている人がいたので、様々なテストに対応している試験センターなのだなとわかった。

 指定時間の少し前まで、エレベーター横の椅子で「くらしの豆知識」という小冊子を広げて、現在の消費生活の現状や最新の課題などを確認した。時間が迫っているので集中できないかと思ったが、それなりに頭に入った。

 入ったブースは右へ入った突き当たりで、落ち着いて受験することができた。騒音防止のイヤーマフも置いてあったので、珍しさも手伝って、これを装着して試験に臨んだ。

 無機質で黒いキーボードの上に小さな「消毒済」のカードがあったので、これを取り除いてパソコンに向かう。LEDの明るい照明と、パーティションの白い壁とが、ネットカフェとは違うと思った。

 マウスを動かすたびにイヤーマフから骨伝導なのかの小さな音が聞こえてくるほど、会場は静寂に包まれている。そんな中、受付で案内があった通りに進めていくと、パソコンの画面に問題が現れた。

 回答は全て4つの中からの回答式なので、慎重にに問題文を読み、回答を焦らずに入力していく。はじめはマウスを操作する手が少し震えるほどに緊張してしまったが、難問か回答を進めて行くと、慣れてきた。

 角のブースだったので、横と後ろには人がおらず、これも幸いだった。

 後で見直したい場合にチェックする所があり、ここをチェックしておくと、最後にもう一度見直すことができるという仕組みがあった。これは受付でも聞いていないし説明書にも書いてなかった。直感的にはわかるけれど、パソコンなどの扱いに慣れていない人には難しいような気もした。

 試験問題は30問、1問あたり5つの回答、所要時間は2時間。

 途中、80分経過したあたりで、一緒に入った女性が部屋を出て行った。

 その時私はまだ、かなりの問題が残っていたので、少し焦ってしまったが、まだまだ時間はあるよなと冷静さを取り戻した。

 一問一問、かなり慎重になって回答し、全てを終えた頃に確認すると、20分位時間が残っていたので、見直しをするチェックをつけた箇所を見直し、更にもう一度はじめからミスがないかを見直した。これは数問しかできずに、タイムアップとなった。

 過去問を解いていた際には、全くわからない問題が何個もあったが、今回それは殆どなかった。

 肌感覚として、悪くはなかったの上、位。たぶん合格するだろうとは、やはり事前の勉強が満足の行くものではなかったこともあり、言うことができない。

 雨の中、仙台の街を駅に向かって歩いていると、やり切った達成感のようなものが込み上げてきて、感慨深い気持ちになった。ゆっくりと街を歩いていると、何だか不思議な幸せな気分になった。これは、今まで一生懸命にやってきたからこそ味わえる感覚なのだろう。

 一方で、試験問題が易しかったかな、とも思ったが、これも逆を返せば、自分が勉強してきたので、わからない問題が少なかった、という事実の裏返しなのかもな、と思うと、更に不思議な感覚に包まれた。

 仙台駅は、来たときと比べると、更に混雑を増していた。

 そうか、今日は大事な秋の三連休の初日なんだもんな、と思った。

 失業して勉強をしていたので、全くこんな事を考える余裕もなくなっていた。

 結果は来週の21日、試験が行われた組織の中のマイページに発表されるのだという。

 少し前テレビで、学校における古典的な合格発表の仕組み、学校の掲示板に貼り出す仕組みがなくなると報道されていたが、何だかこれはとても寂しいような気がする。

 私だって、合格発表がこの会社の前の掲示板で行われるのだとしたら、そこに行って結果を確認したいと思う。

 時の経過を感じるとともに、やり切った安心感も手伝って、疲れが込み上げてきた。

 何時間寝ることができるかなと昨晩は目覚ましもかけずに寝床についたのだが、目を覚ますこともなく、12時間寝ることができた。

「寝るにも体力が必要だ、っていうから、ひろしもまだ若いわね」

 そう言うカミサンの機嫌もよく、安心した。

消費生活アドバイザー試験
消費生活アドバイザー試験