我が家は旧い一軒家。
東京では考えられなかった広さがある。
今ではあまり見ることのなくなった、大小二本の黒松を中心とした日本ならではの庭木も素敵で気に入っている。
家は、新しい耐震基準が設定される前に在来工法で建築された二階建て。
今の時代の2×4や、工場で製造してトラックで持ってきて組み立てるだけのような家とは違い、昔ながらの大工さんが、それこそワンオフで丁寧に建ててくれた家。
しかしこの家も私の車も一緒で、旧くなってくればあっちこっちが壊れてくる。
よく言われるのが水回りと屋根。
風呂は生前義父が退職した際、退職金で取り替えた。しかし、排気のファンが壊れていてそのままである。カミサンがこんなのはどうでもいいと言っていたのと、構造上風呂には大きな窓があるので、これでいい。
シャワーの蛇口のサーモスタットもいつか壊れた。品番を調べて部品を取って取り替えたのだが、結構危なかった。古い部品を取り出すのに専用工具があるのか、なかなか手持ちの道具で取り出すことができずに手こずった。でも出来た。
床もあっちこっちぶよぶよになっている。これはできるだけ踏まないようにしている。いざとなったら張り替えてみようと思ったこともあるけれど、実際に住んでいる状態で床を貼り替えるのは至難の業。いさぎよく諦めて、ぶよぶよの箇所を踏まないように、という対策で死ぬまで行こうと決めた。
そして大きな問題がある。前述の屋根だ。
家の修理は何でもやりたいし、やればできそうな気がするのだが、屋根だけはできない、というか、まだ死にたくない。
少し前、屋根の仕事のバイトをしていた70代の方が屋根から落ちて亡くなったとニュースになっていたが、命綱なしで屋根の作業をしてはいけないと私は思っている。
一階の屋根ならまだしも、二階の屋根は落ちたら死んでしまう。
我が家の屋根は東日本大震災で被災し、盛大に壊れたのだが、義父の町内会の知り合いに屋根屋さんがいて、かなり早くに修理をしてもらった。これは助かった。
その後しばらくは大丈夫だったのだが、少し前から二階の妻の寝室の天井に雨漏りの跡が見られるようになったので、屋根裏に入り込んで屋根の部材に裏からコーキングをし、天井の裏側には防水のテープを貼るなど対策をして、凌いでいた。
簡単に書いたが、屋根裏に入る場所もわからず、天袋に穴を開けて入っても屋根裏はとても狭く、作業はそれなりに難儀した。
その後も何度か地震があり、その度に二階の一カ所だけ、瓦がずれているような感じがする。
この前の地震でおそらくずれたのだろう、先日の雨で妻の部屋にいよいよ水が落ちてきてしまった。これはいけない。
ということで昨日、再び天袋から屋根裏部屋に入り込み、スパイダーマンの如く屋根裏を伝って、雨漏りの修理を行った。
この屋根の雨漏り、実は以前から気になっていていろいろと調べたのだが、きちんとした所に依頼して、足場を組んで直してもらうと、おそらく100万以上かかってしまうようなのだ。足場を組まないでやってもらうという選択肢は、依頼するのであればないような状況になっている。万が一作業の方が転落して亡くなってしまったりすれば、施工主の責任も問われるような事も書いてあった。
ということで、何とか屋根裏部屋からの修理で対応できないか、とにかく上がってみた。
当初は雨が落ちてくる箇所にブルーシートを吊り下げ、一カ所に雨漏りした水を集め、それを外へ排水する仕組みを考えてみた。ブルーシート、アウトドアで使うロープ、大きなじょうご、コーキング剤、ホース、ドリル、樹脂製の大きな飲み水入れなどを買って用意した。
しかし見てみると高さが足りない。
そこで作戦変更。
屋根の部材にブルーシートを打ち付けて、水を集めてみることに。
最後は釘で固定したかったので、家庭菜園で使わなくなった古い竹の棒を使い、これにブルーシートを巻き付けて、屋根の裏側に打ち付けて、水を集めるようにした。
最後の所はコーキング材で水路を作り、釣りのおもりを吊り下げて水を誘導し、飲み水入れからホースを伝って屋根の外へ排水するように作ってみた。飲み水入れやじょうごの固定には、エアコンのダクト用の粘土パテを使った。これは少し高かったが、日本製でとても性能がよく、今回の部材で一位気に入ったものだった。
これの前に、屋根の部材の色を見て、漏れている箇所を確認し、コーキングを再度見直しした。
妻の天井に漏れている箇所は、かつて施工した水漏れ防止テープの上に水がまだ溜まっており、天井材もかなり痛んでしまっていた。
途中、コーキング剤一本と気に入っていたライトの一つを壁の隙間に落としてしまった。取り戻そうと一階の風呂の中から、一階の上の屋根裏に入って探したが、取り出すことができなかった。
夜の8時になってようやく作業が終わった。
これも何とかできた。
しかし、左脇腹が痛い。慣れない姿勢で移動や作業をしたので、あばら骨の一番下が折れてしまったようだ。この骨は折れると痛いけれど、どうすることもできない。そのままにしておけばやがて痛みは消え、くっつくので大丈夫だ。この骨を負傷するのはこれで3回目である。
完璧にするなら100万円かかるけど、私はこうして屋根裏部屋に入ることができるし、屋根から漏れる水も排水処理できるようになったので、身体が動く限りは大丈夫だろう。これができなければ100万円ということなのだ。
作業を終わって確認すると、妻の部屋の水漏れ箇所が盛大に破損というか、私の体重で押し込まれて壊れてしまっていた。
今日もホームセンターに行き、木工用ボンドを買ってきて、午前中これを施工修理していたのだが、元通りにはならない。
妻はこの件に関しては何故か寛容で、古い家なので仕方ない、と、潔く諦めてくれている。私が車を買うか、屋根を直すか、どうするか、という質問をしたら、(車に決まっているじゃないかと)変な顔をしていた。
「寝てる間に屋根が落ちてこないならいいよ。雨が漏れてどうにもならないなら、他の所で寝るからいいよ」
と、何ともまあ、申し訳ないやら頼もしいやらなのである。
私も私で、何でもかんでも自ら直そうとしてしまう自分を、我ながらおかしな奴だなと思う。
高学歴、高収入を捨てたが故の、生きる道なのだろう。




