粉瘤再発

「ちょっとぉ~」

 昨日家に帰って風呂に入り、パンツ一丁で歩き回っていると、カミサンが何やら私の身体を見て驚いている。

 最近腕立て伏せをはじめたので、少し腕の筋肉がついてきたような気がしたのだが、まさかそんなことを褒められる歳でもないよなと思っていると、

「粉瘤、再発してんじゃないの?写真撮るから見てみなよ」

 なんてことを言われた。

 私は3年前に粉瘤の切開と膿出しの手術というか施術を受けている。何度か書いているが、今までで生きてきて一番痛かったと思われる施術だ。

 現状傷跡は塞がっているものの、変な色のいもむしのようになっている。痛みも痒みもないのでこれでいいのだと思っていた。

 あの痛いのはもうゴメンだ、もし再発なら早いうちに手当を… などと思い、カミサンのスマホの写真を覗いてみる。すると…

 いもむしのような傷跡に繋がるような形で、約1cm程のしこりのようなものが出来てしまっている。痛くもかゆくもないし腫れているわけでもない。たまたまカミサンが見つけてくれての発見となった。ここは身体を洗うにも手が届かない部位なので、いつもブラシで洗っており風呂でもわからなかった。

 すぐに外科、正式には開業医である外科を専門とする街のクリニックに行こうかと思ったが、今日はもう夕飯の支度ができているからとカミサンにとめられた。

 ということであくる日、仕事が終わってから行くことに。以前の運転の仕事の場合はこのような時にいろいろと段取りをしなければならなかったので(それでも行けるだけよかった)面倒くさかったのだが、今の職場は夕方の4時に終わるので、普通に帰り道に病院に行ったり車検の車を取りに行ったりすることができる。これはとても助かっている。

 口コミで混雑が言われている病院だったが、それほどでもなく、すぐに診察をしてもらうことができた。

 先生は物静かな感じなのに、いざ手術となると本領を発揮するという、私もカミサンもお世話になっていて頼りにしている、頼もしい先生。整形外科とリハビリを中心に一般の成人病なども診察しているが、おそらく外科がメインなのだと思う。

 待合室で待っていると、少しして呼ばれる。今は歯医者も内科医も予約制を取っている所が多いが、ここは昔ながらの順番制だ。

 問診票に「粉瘤再発?」などとさんざん書いたせいか、看護師さんが3人ほど見ている中で服を脱ぐ。「あ~」というような、ため息にも似た声が診察室に小さく響く。

 先生は「化膿してはいないが、いずれ切らなければならないだろう」と言う。粉瘤を検索してみるとわかるが、これは良くならないばかりか、放っておいて化膿してしまうと、以前の私の時のように大変な事になる。粉瘤であるなら当然の診察結果なのである。

 私はもう、以前のような「化膿した粉瘤が爆発し、切開して膿を出し、縫合もせずに数ヶ月ガーゼ取り替えが続き、病院に行けば痛い処置が続く」という状況にはなりたくないので、これが粉瘤であるなら一刻も早く取り除いて欲しいと思っていた。

 「もしできるなら、今日切って下さい」

 周囲の看護師さん達の間に緊張した空気が流れる。

 経過を見るとかではなく、突然処置が始まるのが、この病院のいいところなのだ。

 ということで、処置が始まった。

 ベッドに仰向けで横になり、待つこと10分、処置が始まる。5箇所くらいに麻酔をする。今まで行っていた歯医者とは雲泥の差で、これは針が入るときも薬が入っていく時も、それなりの痛みがある。でも、反射的な声は出ないし我慢できるレベル。

 肌が引っ張られる感覚がある。皮膚を切る音がする。あの優しい顔からは想像もできないが、結構力が入っている感じがする。結構ガツンガツンと響く時もあるので、かなり引っ張っているようだ。ケロイドのようになってしまっているいもむし状の部分も調整しますから、というので、頑張ってくれているのだろう。

 以前、形成外科で有名な高須幹也氏の動画で見たことがあるが、外科医の本能として、自分が施術した傷口は綺麗であって欲しい、という事があるらしい。こちらの先生も、以前の傷口がいもむしになってしまったので、今回の施術と合わせて調整してくれているのだろう。

 「あと少しですからね、頑張って下さい」

 何度かこのように言われること約30分、手術は無事に終わった。まあいいものではないけれど、思っていたほど痛くもなかったし、これで粉瘤の症状が解決するのだと思えば、とてもスッキリとした気分になった。

 翌々日、傷口を見てもらった。痛みも何もないと私が言うと、それなら大丈夫なので、来週いつでもいいのでもう一度来て下さい、その時に抜糸の日にちの相談をしましょう、ということだった。おそらく全く問題のない状況なのだろう。

 術後3日は風呂を控えて、おかしな体制でのシャワーだったが、術後4日経過した今はもう、風呂に入っても大丈夫のようだ。

 しこりが出てきた時には驚いて、一瞬憂鬱な気分になったけれど、こうして処置してもらい、手術も終われば、早めに対処しておいてよかったな、ということになる。

 皆さんも、身体のどこかに腫瘍が出てきてしまったときには、早めにお医者さんを受診されることをおすすめします。遅れてしまうと、とんでもないことになる可能性があるので、本当に早めの受診が大切です。