世界で一番行きたい国のナンバーワンは、日本だというデータがある。
嘘ではないと思う。
海外の人に聞くと、日本の文化や歴史に興味がある、という人が多い。
アニメ、オタク、音楽、バンド、寿司、天ぷら、ポケモン、キティーちゃん、ゲーム、日本酒、などなど、今の時代においても日本は独特の文化を生み出しているが、過去の歴史や文化においても素晴らしいものが数多くある。
かつて日本の家電製品は、その性能と作りの良さで世界を圧巻していた。カメラ、オーディオ、時計などは、古いもの、現在の物も含めて、今でも根強いファンが世界中に存在する。
日本は長い間鎖国をしていた事も、人気が高まっている要因の一つだろう。茅葺き屋根の家に住み、毎日釜に火をくべて米を炊き、風呂を沸かし、味噌汁を作り、馬と一緒に暮らす。大人も子供も筆を手に取り、墨を使って文字を学んだり、大事なことを帳面に記したりする。豊かで美しい四季折々にはそれぞれの行事があり、その都度様々な道具を用いて、独特の風習に根付いた行事が行われる。お花見、七五三、結納、結婚式、葬式、各種法事、お盆、お正月、これらはほんの一部に過ぎないが、私達は何も思わないこれらの事柄に、海外の人たちはとても興味を持っている。
私はここに目をつけ、日本の文化に根付いたこれらの行事に関連する「もの」や、「道具」などを骨董の市場で仕入れて、世界一と言われるプラットフォーム eBay で販売をしてきた。
昔、日本中で普通に使われていたものが、日本では考えられないような値段でよく売れた。普通の皿、普通のお椀、キセル、習字の道具、茶道の道具、提灯、着物、帯、昔の人が筆で書いた手紙、昔の本、おちょこ、鉄瓶などなど、数え上げればきりがない。
調子に乗って、自分で習字の授業を思い出して半紙に習字を書き、売りに出してみたところ、これも何枚か売れた。卒業式で卒業証書をもらった時の、にせのワニ皮の筒に入れて送ってあげたところ、大変喜ばれた。あの偽ワニ革の筒も、日本独自の物だろう。
変わった所では、イナゴの佃煮や蜂の子などに興味を示した人もいた。あれこれと要望があったので、Amazonで仕入れて送ってあげたら、これも大変喜ばれた。あまり聞かないヨーロッパの国の方で、あまり裕福ではないことが取引するやり取りの中でわかったので、それほど利益を乗せることなく、損をしない程度の価格で送って差し上げた。
世界のマーケットでは、製造から100年以上が経過した物をアンティーク、骨董品と呼ぶ決まりがある。日本の骨董品は、丁寧に時代と作者を説明して上げると、日本の市場では考えられないほどの高い価格で販売する事ができる。
何だお前、儲かってんじゃねーか、と言われそうだが、この話にはオチがある。
私は骨董品の市場に定期的に出入りするようになり、様々な商品を、あれも売れるだろう、これも世界になら売れるだろうと、手当たり次第に買い求めてきた。その結果、置く場所がなくなり、出品が追いつかなくなり、最終的にはあまり利益が取れないので面倒臭くなり、現在は相場を遥かに超える価格で数点は出品しているものの、殆ど売れなくなってしまい、悪循環のスパイラルに陥っている。
私の使っているプラットフォームeBayは、「常に売れているセラーファースト」の仕組みが見事に整っている。逆を言うなら、売れないセラーの商品はゴミ同様の扱いになってしまうし、仮に売れたとしても、「久しぶりに売れたセラー」というレッテルが既に貼られてしまっているので、商品代金を「hold on」といって、数週間もの間、支払いを留保されてしまうのである。
コロナにより、送料の安い日本郵便での発送ができなくなってしまったことがトドメとなった。今は働けば安定して収入を得ることができる運転手のバイトに専念する傍ら、仕事が終わり、夜に何とか作り出している僅かな時間の中では、売れないスパイラルに陥ってしまったリアルな物販よりも、がんばれば再び何とかなるかもしれない、インターネットを使った他のお仕事に力を入れている、というのが実情なのである。
この海外物販に関しては、自分なりに結構がんばったという自負があるのだが、結末は今のところこんな状態なのだ。おそらく変わらぬ感じでしばらくは推移していき、インターネットを使った他のお仕事が軌道に乗り、運転手の仕事もしなくて済むようになったなら、再びYouTube同様、力を入れて再開しようと思っている。
ここが今現在での目指すべき所となっているので、目標があるということで、良しとしようじゃないか。