火曜日の昼間、義父がお世話になっている介護施設の施設長さんから私の携帯に電話がかかってきた。
「申し上げずらいんですけど…」
嫌な予感である。
聞けば、最近義父が入浴介護を受けている際、女性介護士さんに対して、セクハラまがいの言動が見受けられるとのこと。
その内容を聞いてびっくり。
彼は元警察官で、それをいつも自慢し、人生を高圧的な態度で生き抜いてきた。
その彼がなんと
「おっ〇い触らせてくれ」とか「〇そこを触らせてくれ」とか言っているらしいのだ。
呆れて言葉も出なかった。
施設長はかなり言いずらそうに状況を説明してくれたが、おそらく電話をかけてくる位だから、その行為、言動は何度もあったのだと思われる。
あまり状況が改善されない場合は、サービスを提供することができなくなってしまいますので… と、これも立場上、言わなければならないセリフだろう。
私は電話を切った後、カミサンに電話した。
彼女はこの話を聞くと、久しぶりに持病の動悸がしてしまったという。
私はその日の夜、仕事が終わってから、一人、介護施設に向かった。カミサンが来れないのはわかっていたし、来なくてもいいと思っていた。
今まで1年半程お世話になっている介護施設。コロナもあったし、一度も面会になど来たことはない。ただ、入所前に荷物を運び入れただけ。
幸いにも施設長がいてくれて、一緒に義父を問いただした。
彼は喋らない。
私たちの言葉に対して、手でオッケーをしたり、手を横に振って、ノー、違う、という仕草をするだけ。
入浴介護時には、自分の欲求を満たすために喋っているはずなのに、これもまた意地汚い。
義父が行為を認めるはずもなく、私と施設長はその旨話をして、彼の部屋を出た。
とにかく、こちらが誠意を見せることが大事だろうと思い、私は精一杯の事をしなければと思った。
カミサンはしきりに私に謝っていた。
彼女のうつ病や心臓の病気が再発しては、元も子もない。
とにかく、できることを、精一杯やるだけだ。
さすがに私が行ったので、彼もわかってくれたとは思いたいが、老化によって性欲などの制御が利かなくなる、なんて事も言われている。
そんなこと、認められるはずもない。
とにかく、これ以上、事態が悪くならないよう、施設の方にも協力してもらって、最善を尽くし、最悪の事態を何とか防がなければと思っている。
しかしまあ、あきれたものである。
とんでもない現実だ。