めだか物語

「はい、あなたたちは今日からこっちね。机は広く使いましょう」

 机の上にいた「めだか」達が、部屋の隅っこに追いやられてしまった。

 我が家にはかつて、カミサンが前から飼っていた犬のまーくんと、私が屋久島から連れてきたねこのにゃんちゃんがいた。

 まーくんは私が来てしばらくすると死んでしまい、その後しばらくの間はにゃんちゃんを二人で溺愛していた。

 しかしさすがに生き物には寿命があり、かわいがっていたにゃんちゃんも17才で息を引き取ってしまった。

 その後は、金魚などを飼っていたのだけれど、さすがに犬やねこ程は入れ込まずに、それなりの愛情のもとで飼育していた。

 しかしこの金魚たちも死んでしまい、何か寂しいなと思っていた矢先、たまたま出かけた道の駅で売っていた「めだか」に目が留まり、オスとメスの二匹を買って帰り、これを買い始めたところ、どんどんと増えて行った。

 金魚はキャビネットの上、ファックスの横のスペースで飼育していたのだが、震災時にキャビネットが倒れて、とんでもないことになってしまったので、今回のめだかはいつも食事などをしている机の上で飼ってあげましょうということになった。

 カミサンは時々見るくらいで殆ど関与せず、私が水槽を掃除し、毎日餌を与え、それなりに時間をかけて世話をしていた。カミサンの友人が飼いたいというので、こちらにお届けしたりもした。

 アクリルの四角い水槽に、4匹くらいの定員で飼育し、増えると別の小さな虫かごのような容器に移し替えたり、外に作った池に移動したりして、それなりに我が家の一員になったかに思えた。

 少し前、別の虫かごで飼っているめだか達がかわいそうになったので、これらを机の上の水槽に全て移してあげた。総勢、12匹くらいになった。

 最近何故だか、カミサンの事を見ると驚いてしまうのか、速い動きで逃げ回るような仕草?をするようになってきた。これがいけなかったようだ。

 4匹だったころは、カミサンに向かって餌をねだるような可愛い状況もあったのだけれど、数を多くしたのがいけなかったのか、こんな風になってしまった。

 とどのつまりが、この状況である。

 カミサンがいつも座る位置からは見えない、私の斜め後ろのスペースに追いやられてしまった。

 それなりに世話をしていたので、何だか複雑な心情なのである。

 これからどうしようか、外の池に移動するか、そのまま部屋で飼い続けるか、考えているところだ。外にはいくつか飼うことのできる所があるにはあるのだけれど、一つは夏に水温が40度くらいになってしまうなど、環境があまりいいとは言い難い。

 少し数を減らして、何匹かを引き続き、部屋の中で飼ってあげようかなと思っている。

 今年の夏も暑くなるのだろうか。彼らは水が風呂のお湯くらいの温度になっても、はたまた冬期は凍結した氷の下にいて力強くも生きている。こんな風に、このめだか達の生命力には、驚かされるのだけれど、彼らだって生きたいから頑張っているのだろうし、それならできるだけいい環境で飼ってあげたいと思うのは当然なのだが、カミサンが絡んでくると、これまた難しいのである。

めだか