正月の帰省

 今年の正月は、実家に帰省しようと思っている。

 カミサンが病気になる前の正月が最後で、そのあとはコロナになってしまったので、三年ぶりだ。

 東京の実家に電話すると、父も母も何とか元気にやってくれているようで安心した。

 近くに姉がいるのだが、免許も車も持っていないので、時々タクシーで買い物の手伝いをしてくれていると聞いていた。ところが最近、姉の足である姉の旦那さんが定年したのか、週に二回のペースで来てくれているのだという。

 近くのスーパーが閉店してしまい、買い物が大変だなと心配していたのだが、何とか大丈夫なようだった。

 姉とはそれ程仲がよかったわけでもなく、私にとってはそれこそ空気のような存在だったのだが、ここへ来て存在感を増している。カミサンとは違って化粧っ気も色気もなく、ごくごく普通のオバサンになっているとは思うが、聞くところによると健康に暮らしてくれているようなので、これもまた助かる。

 オヤジは相変わらずで、ボケてはいないものの、エアコンの使い方がわからないから教えてくれとか、夜中に汗をかいてしょうがないとか、羽毛布団を三種類いろいろと使っているけれど、羽毛布団は汗を吸い取らないから下着をきちんと着て寝た方がいいのかとか、こんな事が気になっているようである。

 母はオヤジの気分のムラに少し悩んではいるものの、結婚後それこそ60年程一緒に暮らしてきているので、今さらどうのこうのもないようだ。しかし最近では、姉が味方に付いてくれているらしい。オヤジがペットボトルのラベルを剥がさずにゴミに出しているのを見て、姉がこれをきちんと剥がして捨てなければダメなんだよ、と注意したところ、オヤジは姉の言うことを聞き、きちんとできるようになったのだという。

 このあたり、今入院している義父とは全く違って、オヤジは娘の言うことをよく聞いているようだ。ますます姉の存在感が増しているというところだろうか。

 姉とは東日本大震災の後、一度会ったきりである。本来は私がやらなければならないことをきちんとやってくれているので、今回はこちら仙台の菓子折りの一つでも持って、お礼に行こうかなと思っている。

 平成元年生まれの子供、私にとっての甥っ子が一人いるのだが、さすがにお年玉はあげなくていいだろう。甥っ子にいたっては20年以上姿を見ておらず、すっかり疎遠になっている。

 今さらどうのこうのではないが、やはり正月というのは、家族の絆を確認するいい機会なのだなと、ごくごくあたり前のことを実感するのであった。