運転手という職業に憧れている人は、それなりにいるようだ。
今の職場で、二人の人に相談されたことがある。
一人は今の仕事上かなり近い方。
ある日の夕方、相談された。
荷物は重いのか、フォークリフトの免許はあった方がいいのか、どのような仕事があるのか、大型免許はないけれど仕事はあるのか、あまり腰が強くないけれど大丈夫だろうか、などなどを聞かれた。
私はもちろん自分の経験から答えを返すわけなのだが、どうしても私が経験してきた事情、給料が安いとか、勤務の拘束時間が短いとか、そのようなネガティブな答えになってしまう。これは仕方ない。
でも、話し終わってよく考えてみると、その方は人生の第二のステージを、何とか自分らしい生き方で締めくくりたいと考えているのである。今まで公務員で一生懸命に勤め上げられてきた事、それが運転手出身の私にとっては素晴らしく、これ以上の待遇はないと思ってしまっているので、二つの仕事を比べてしまうと、どうしても「運転手なんてやめた方がいいです、きついし有給なんて取れないし…」などのネガティブな意見になってしまう。
しかし彼らにとって、運転手は憧れの職業なのである。
私は殆ど全ての運転の免許を持っていて、一応何でもできると思う、と答えると「かっこいいですね」と言ってくれた。このように言ってくれる人というのは、言い換えるなら運転手に憧れている人なのである。
また、この方は、2日でも3日でも家に帰らずに仕事をするのはやぶさかではないんですけどね、とも言っていた。この、毎日家に帰らなくてもいい、というのも運転手の素質の一つで、実は運転手を考えるにあたっては重要なのではないかと思っている。
私はこちらの方の収入や休みを取りやすいなど、今の勤務の状況などを踏まえて、運転手「なんか」にはならない方がいいいですよ、と答えてしまった。話し終わってしばらくして、一人の人間の、大事な人生の最後の夢を打ち砕くような発言をしてしまったのかな、と、思った。
家に帰っても悪いことをしたかな、という思いがあり、今度機会を見て、私が言ってきたことはあくまでも「大型の運転手の最悪の会社にいた私の主観」であり、現状、運転手は絶対的に足りないという状況があるとともに、小さなトラックには様々な職種や働き方があると思うので、腰のことなども併せて相談してみる価値はあると思います」というような、前向きな答えに訂正しようかなと思っている。
こちらの方とは、しばらくすれ違いになってしまい、なかなか話をする機会がなかったので、今度機会を見つけたら、ただ単にきつい、とか、安いとか、つらい、とか、のネガティブワードを並べるのではなく、もっと丁寧に話をして上げようかなと思っている。
しかし驚くのは、おそらく私が見るに、最高の立場や収入や職場環境にいると思われている方でも、定年が近くなると、いろいろとこれからの職業について考えるようになってくるのだな、ということ。
他人の芝生はよく見える、とは、よく言ったものだな、というところだろうか。
人生は面白い。





