松の木の剪定

 庭に、松の木が二本ある。

 一本は、ホームセンターで売っている、いちばん背の高い脚立に登らないと手入れができないくらいの高さがある。

 もう一本は、その半分くらいの規模だ。

 毎年、この二本の松の木の手入れを、私が行っている。

 当初は右も左もわからなかったので、本を買ってきて勉強した。

 もう15年くらいやっているので、それなりにできるようになった。

 春先、ミドリと呼ばれる新芽が伸びてくるので、これを摘む「ミドリ摘み」と呼ばれる作業がある。芽が出てきてからしばらくの間、具体的には4月-5月位までに作業ができれば、芽はまだ柔らかいので、何とか道具を使わずに摘むことができるが、蚊が出始める位になってしまうと、既に枝になってしまうので、鋏を使わなければ摘むことができなくなる。

 放っておくと、見栄えも悪い。これを海外の人に紹介したことがあるのだが、「どうして君は、せっかく出てきたパインキャンドルを取り除いてしまうんだ?」と言われた。日本の松の木の手入れ方法には、独特の文化が宿っているのだな、とあらためて認識することができた、海外の方とのやり取りだった。

 夏の間に1回、枝を剪定できるといいのだが、なかなか取りかかれない。夏は暑いし、蚊の対策もしなければならない。今年は面倒臭くなって、何もしていない。

 秋、11月頃に、最後のメンテナンスとして、枯れた松の木の葉を取り除く「もみ上げ」と呼ばれる作業をする。茶色くなりかけている古い葉を手でむしり取ることで、かなり見栄えがよくなる。

 基本的には、春先と晩秋のこの作業が基本である。

 今まさに、このもみ上げをしなければならないのだが、なかなかどうして、背が高く取り回しの面倒な脚立を取り出して作業する事ができない。脚立を取りに行くことができない。

 運転の仕事も不安定で、家の仕事もいろいろと勉強する事が多く、なかなか庭の手入れにまで意識が行かないという感じだろうか。

 本格的な冬が来てしまうと、さすがに松の木にもダメージを与えてしまうことになるので、そろそろやらなければな、と思っている。

 今日は平日なのに運転の仕事が突然休みになり、体はあいているのでそろそろやらねばなと思うのだが、インターネットの仕事の勉強をしなければとの思いもあり、今日もなかなか取りかかることができない。

 加えて、義父の訪問看護が、いい時間の14時頃に来るらしいので、あまりうろうろとする事もできず、これもまた隠れたストレスなのだ。よくわからないけれど、陰部を出して消毒してもらったり、薬を塗ってもらったりしているようなので、これに出くわすわけにもいかないと要らぬ気を遣わねばならないので、同居はいろいろと面倒なのである。

 秋、立冬を過ぎ、いよいよ気持ちのいい季節になってきた。老後に向けた家の仕事の勉強、会社のトラックのスタッドレスタイヤへの履き替え、部屋の片付け、白菜作りと豆もやし栽培とキムチ作り、そして庭の手入れと、これからもいろいろとやらねばならないことが沢山ある。

 今年の年末には、東京の実家に帰ろうかなと思っている。元気に年を越せるようにがんばって行きたいと思う。