昨日、義父が入所予定の介護施設に、テレビや身の回りの細かなものなどの、おそらく最後となるであろう荷物を運び込んだ。
日曜日だったせいもあるのか、施設内はとても静かだった。以前、話を聞きに来た時にはそれだけで精一杯で余裕もなかったし、先方からも声はかからなかったので、施設の見学などはしなかった。
今回私は、はじめて義父が入る部屋に入った。廊下は車いすが余裕ですれ違いできるほど余裕があり、各部屋も、本来の老人ホームの規格よりも少し広めに作られていた。そして何よりいいなと思ったのは、使うかどうかはさておき、各部屋に車いす対応のトイレが設置されていることだった。
ベッドやテレビを置く家具などは月曜日に設置されるとのことで、部屋には何も家具がなく、とても広く感じられた。
新しい部屋、築数年しか経過していない綺麗な施設、各部屋にトイレがあり、三度三度食事は施設内で調理されたものが提供される。
どこの会社でも、どんな業界でもそうだと思うし、今回の病院でも強く感じたことだけれど、会社の状況やトップの方針への従業員の満足度というのは、末端の、サービスを提供する、お客さんと直接接する人たちの顔や態度に出る。
カミサンが今までさんざんお世話になってきた大きな病院は、以前は国立病院だった。おそらく待遇はそれなりに良かったのだろう。今回義父が入院した病院と比べると、中で働く人たちの表情には、かなりの違いが感じられた。カミサンも言っていたが、何かの時はもちろんのこと、普段の態度や表情、振る舞いに、明らかな違いがあるのだという。
私は介護施設と関わるのは今回がはじめてだった。何もわからぬまま、当初はあっちこっちに電話をしてみたが、介護施設の方々というのは、その仕事柄もあるのか、とても人当たりが良いように感じた。
私の住んでいるここは、東北で一番の都市であるし、介護施設も沢山あって競争が発生しているということもあるかもしれない。
しかし、そのような中、こちらの施設長の女性は、群を抜いて対応が良かった。こちらの悩みをきちんとくみ取って、こちらに寄り添う話し方をしてくれた。どのような方なのだろうと思いながら施設にお伺いしたところ、私の想像した以上の人徳者で、その方の元で働いているみなさまの顔も、輝いて見えた。
契約にあたって、運営会社も調べてみたが、やはりトップが看護師で、介護と医療をできるだけ低価格で、年金の範囲内で提供したい、ということを熱く語っていた。
経営は上手く行っていて、働いている方々もそれなりに報酬があり、休みもあり、充実されているのだと思う。現場にはいろいろなことがあるのだとは思うけれど、きちんとされているのだろう。
今回は本当に入所までいろいろなことがあったが、最終的にはこちらの施設長のお人柄に救われた。病院側から勧められた施設に言われるがまま入り、25万も30万も払うことになったとしたら、私たちはもう、暮らしていくことができなかった。かといって、寝たきりの義父を家で見るなどということは、考えられなかった。
ゴールデンウィーク前には、入所できる予定だ。
金銭面では殆ど余裕がなくなってしまったが、ここで最後までお世話になることができるということなので、まずは安心した。