義父の死、墓にバレた日 – 誰にも知られないはずだった結末

 義父の死は、誰にも知らせなかった。

 きちんとした葬儀をするお金がないので、仕方なかった。

 誰にも知られることなく、しばらくが経過してから、徐々に知られるだろうなとは思っていた。

 ところがである。

 「墓にバレた…」

 翌日の朝、カミサンから電話があった。

 墓のある寺は地元に根付いており、カミサン側の親戚、実家も、もちろんここにお墓を持っている。

 義父の友人に、親しくしていた、「とある同級生」がいた。私もカミサンも顔を知っており、義父の友人の中では一番感じのいい人だった。

 同級生は、私たちから情報を得て、義父が施設に入ったと知ると、真っ先に面会に行ってくれたような人だった。後になってわかったことだが、月に一度、私たちが一度も足を踏み入れていない彼の部屋に面会に行ってくれていたのだという。

 その彼が、今回は具合が悪そうだからと定期訪問を早めて、施設に行ってくれたのが、ちょうど義父の葬儀当日。死亡の知らせを知り驚いて、私たちの家にやって来てくれた。

 その日は葬儀や片付けで一日中家を留守にしていたので私たちと話をすることができず、ポストの中に置き手紙があった。

 しかし、どうしてお墓に知られてしまったのか?

 同級生の彼は、数十年前、義母が亡くなって葬儀をした際、このお寺で葬儀をしたことを覚えていて、葬儀の予定がないかどうかを寺に問い合わせたらしいのだ。

 そこで、住職が彼の電話で義父の死を知った。

 住職は私たちと連絡を取るために親戚に連絡し、親戚が慌てて私たちの家にやってきて、親戚に問いただされたのだという。

 とにかく、お寺からは、話がしたいので連絡が欲しい、とのことらしい。

 カミサンはこの時点で具合が悪くなり、動悸がしてきてしまったらしいのだが、何とか耐えて、私に電話をしてきたのだった。

 続く。