昨日木曜日は、灯油の配送日だった。

 昨日書いたように、水曜日の朝に我が家のボイラーの灯油タンクがガス欠し、寒い中風呂のお湯が出なくなり、家のファンヒーターから灯油を補充、エア抜き、再起動スイッチ押下で、何とか元通り、という状況になった。

 この状況を簡単に紙に書き、全てのタンクに給油をお願いします、と、灯油のポリタンクを4つ入れたストッカーの前に貼り付けておいた。

 配送に来てくれたのは、米穀店の若社長。義父とはとても仲が良かったし、私がかつて書いた本も買ってくれたなど、付き合いは深い。

 私の書いた紙をみてびっくりしたようで、その紙の裏に丁寧に謝罪と返事が書かれ、ポストに入れてあったと、カミサンからLINEがあった。

 仕事を終えて家に帰る際、カミサンに電話をすると、何やらいつもの感じではない。聞けば、再び米穀店の若社長が来て、今度はきちんとした紙に謝罪文を書き、やってきたらしい。

 彼が外にしばらくいたので、玄関から出られなかった、と言っていた。もしかすると直接謝罪するのに、私のことを待っているのかも、と言っていたが、それはないようで、しばらく灯油ストッカーの前にいた彼は、やがて去って行ったのだという。おそらく手紙を書いていたのだろう。

 私が会社から帰り、門扉を開けて入ったところで、やはり彼はいなかった。

 しかし、玄関先に何やらが置いてある。見ると、米穀店自慢の商品が、段ボールの中に入れられて、玄関先に置かれている。

 それには、更に丁寧な手書きの謝罪文が添えてあった。

 会社と若社長の電話番号が書いてあったので、これは電話せずにはいられないと電話をすると、若社長が出て、平謝りだった。夜中の2時でも3時でも、何かあったらいつでも電話下さい、と言ってくれた。有り難いと同時に、こちらも恐縮してしまった。

 カミサンは、生協の灯油宅配や、イオンの灯油宅配、その他のお店の灯油宅配などを検索していたようだった。今はWeb注文が当たり前で、PayPayでも払うことができたり、裏のタンクまで入れれば割引があるなど、灯油の販売も各店でサービス競争が繰り広げられている。

 それに比べれば、昔からの方法で何とか個客を囲い込んでいるこちらのお店は、遅れてしまっているのかもしれない。

「つなぎ止められちゃったけど、仕方ないね」

 ぼそっとカミサンは言いながら、もらった商品を確認する。

「これで5キロあるんだって。久しぶりの高級米ね」

 我が家は昔から、義父が町内会の幹事をしていたり、いろいろと付き合いがあったので、これをすぱっと切るわけにはいかないのだ。

 義理と人情の世界は、まだまだ続いているんだな、といったところだろうか。