超一流企業戦士の老後
高校の同級生で、仲の良い友人が何人かいる。
浪人し、大学に進学し、一流企業に就職し、第一線で働いていた。
過去形である。
超一流企業で働いていた者は二人いたが、二人とも60を前にして、選択定年した。
そう、今はもう、働いていない。
現役時、二人は週休二日の勤務で、転勤なども頻繁にあったようだが、会社からはかなりの給料をもらっていたと思う。
ストレスも半端なかったとは思うが、給料や勤務体系などだけを見るなら、うらやましいことこの上ないという感じだった。
しかし今は、もう働くことができていない。
一人は先月で退職したばかりだから、まだ気持ちも落ち着いていないだろう。
もう一人は、確か昨年の6月頃に退職し、ゆっくりしているようだ。
さすがに何かやらねばと思っているのか、次の職業の斡旋所のような所に通っているらしいのだが、そこで言われたことが興味深い。
仕事があるにはあるのだが、「介護、運輸、警備」が殆どなのだという。
彼はまだ、再就職はしていないが、「バスの運転手なんかありますよ、どうですか?」なんて言われているのだという。
たまたま彼は、無呼吸気味らしく、自分で車を運転するのもあまり得意ではないことから、バスの運転手は断っているらしいのだが、何だか不思議な感じがする。
私は彼らとは違い、大学にも行かず、ふらふらと好き勝手に人生を過ごしたのち、運転手を20年以上続けている。
今日も朝の6時過ぎから夜の7時前まで、大型トレーラーを下道で300キロ程運転した。
長い事やっているからできるようなもので、元超一流企業戦士にはできないと思う。
私なんかは身体が動かなくなるまで働かなければならない。
彼らのように退職金などはないうえ、零細起業、さらに非正規雇用のアルバイトである。
働くしかないのである。
超一流がいいのか、それともアウトローで適当なのがいいのか。そんなことを考えるのはナンセンス。
なぜならそれは自分が決めることだから。
とにかく何だっていいのだ。幸せに生きていくことができればそれでいい。