愛車ランクルヨンマルのドアノブが壊れてしまい、部品を注文中である。
MonotaROで注文すれば、1割引の日もあるし、家まで届けてもらえるのだけれど、今回は本能的にトヨタの部品会社、トヨタモビリティーパーツさんで注文をした。
当初は来月のはじめに到着予定と言われていたのだが、昨日の朝10時頃、担当してくれたお姉さんから部品到着の連絡をいただいた。
受け取りは現在、夕方の5時までなので、その日はまず無理だろうと思っていた。でも、仕事は実に微妙な時間に終わった。もしかすると受け取りに間に合うかな、という感じの時間だった。
最後に荷物を降ろして、この先全てが上手く行けばギリギリ、部品の受け取りに間に合うかなという位の感じだった。
可能性は低いかなとは思いつつ、一応受け取ることも頭に入れて車庫に帰ってみると、ホントギリギリで間に合いそうな時間だった。
慌てるとろくな事がないし、事故を起こしたりするので、落ち着いて行動し、部品の受け取りに向かったところ、1分前に駐車場に到着し、窓口には17時ピッタリに到着することができた。
受付のお姉さんに引換証を渡すと、奥から部品と領収証を持ってきてくれた。
「どうもありがとうございます」
とても助かったし、嬉しかったので、本能的に声が出た。
そう言えばこちらの会社の女性は、制服を着ていないよな、と思ってきょろきょろしてみると、カジュアルな服装で業務をしております、と、張り紙に書いてあった。何だか役所に行った時のような感じだけれど、これはこれでいいと思った。
渡された部品は重みがあった。持ってみただけで、しっかりとした日本の製品だと言うことがわかる。
こんな事が言えるのも、私はこの部品をかつてインドネシアから購入し、何度か取り付けているからだ。海外製の部品は確かに安い物も多くて、上手く使えばとても助かるのだけれど、製品のクオリティーが日本の製品を超えることは殆どない。
税込みだと5,000円を超え、ちょっと高いかなと思った部品だったけれど、この悩みは一瞬で最大の満足に変わった。この部品を取り付けすれば、おそらく私が死ぬまで壊れることはないだろう。
家に帰って夕食後に部品を確認する。
プチプチに入って綺麗に梱包され、品番の入ったシールのほんの少しの所で最後の部分が止められている。部品への日本人ならではの気遣いを感じると同時に、海外製の物とは比べものにならないほどの重量感に心が躍る。
昭和53年に製造された車の部品が、平成を超え、令和の時代になっても手に入る。しかも新品である。ぴかぴかと光り輝くその部品を手にして、思わずニヤついてしまった。すごいぞ日本。
「それ何?新品なの?」
「そうだよ」
「ふうーん、綺麗ね」
私の様子を見て、カミサンが話しかけてくれた。夫婦としてとてもありがたいことだけれど、私の心の領域に入り込むことはなかなか難しい。
今の私には、心から打ち込める趣味もないし、経済的にも不安定な状況が続いているので、なかなか心からの満足、楽しさに出会う場面がない。
でも今回、この部品が壊れ、品番を調べて注文し、実際に取りに行き、こうして手にすることで、久しぶりに気分の高揚を感じることができたように思う。
自分で取り付けし、無事に修理完了となったなら、その満足感はどんな感じなのだろうと想像すると、これまた久しぶりにワクワクしてきた。
たかが自動車の部品である。こんなつまらないことに喜びを見いだすことができる「ランクルヨンマルの所有」が、私の一番の生きがいなのかもしれない。