緑を望む窓辺のティータイム

 蝉の泣く声で目が覚めた。

 湿度が高い。

 仙台に比べると、やはり気温も高い。

 屋久島はこれ以上だったが、最近では30度を超えない仙台の気温に体が慣れてしまっている。

 でも大丈夫。私は湿度に強いので、蒸し蒸しのエアコンなしの部屋で寝る。むしろ快適。

 東京に来てから天気もいいので、汗をかいたパジャマやシーツなどを毎日洗濯している。

 よほどの厚手のものでない限り、ベランダに干しておくと数時間で乾いてしまうので、気持ちがいい。

 オヤジは今晩施設から返ってくる。今日は姉もいないので、こうして実家で一人暮らしている。

 これも何だか不思議な気分。

 今日は暇にまかせて、お役御免になりつつあるポットを磨いた。

pot
cleaned pot

 私は古い鉄瓶で沸かした水で淹れるコーヒーにこだわりを持っていた時期もあったが、そんなこだわりも歳と共に消え去った。

 電気で沸かすお湯なんて、と思っていたが、今はこっちの方が早くて安全で、と思うようになった。

 歳を取ったのだ。

 今日はこれから姉と待ち合わせて、今度は母が入所する特養のカンファレンスに出席予定だ。

 少し前に医者から「看取りの準備をそろそろ…」なんて言われた母。

 戦後を強く生き抜き、90を超えた生命力は、やはりただものではないようだ。

 もうしばらくは大丈夫なのかもしれない。

 看取り宣言が出た際、母が入る墓のことを姉と話し合ったことがあった。

 墓の書類は父が持っているはずなのだが、それがどこにあるのか、父に聞いて確認しなければならない。

 母の死が前提の話になってしまうので、切り出しにくい感じもするが、やはり聞いておかねばならないだろう。

 父は先日、財布を失くしてしまったらしい。

 その前も大事な袋を失くしたと言い、結果的には押入れの奥にしまい込んでいた、ということがあった。

 見た目はそれなりだし、大きな声でしゃべるし、杖もつかずに歩いているが、やはりMRIの診断結果ではアルツハイマーではない方の認知症があるので、注意しなければならない。私が到着した日も、施設に行くのに貯金通帳と実印と一万円札が何十枚か入った封筒を持っていこうとしており、施設の方に止められていた。

 もっと面白いことを書くつもりだったが、どうしてもこんな話になってしまう。

 こうしてたそがれながらパソコンに向かってこれを書いていることが、今のわたしの唯一の楽しみなのかもしれない。