カプサイシン

 カミサンが韓国好きになり、毎日韓国の食事を作ってくれるようになった。

 毎日毎日夕食は、真っ赤なおかずが食卓に並ぶようになった。

 腹の弱い私は当初、嫌だなと思っていたが、元来辛い物は好きだったので少し我慢して食べていたら、何とか食べることができるようになった。翌朝のトイレも調子がよくなってきたような気がする。

 驚いたのはカミサンの身体の変化だ。

 彼女は更年期と思われる症状がかなりひどかった。

 指はこわばり、朝はペットボトルの蓋を開けることもできなかった。五十肩で、ゴミを持ってゴミステーションまで運ぶのも一時期は大変だった。病気や義父関連のストレスから、よく眠ることができない日も多かった。そして春先は、当たり前のようにかなり酷い花粉症に苦しんでいたのだ。

 ところが、カプサイシンがたっぷりと入った、韓国のおかずを毎日食べるようになると、彼女の体調に変化が現れた。

 指のこわばりも、肩の痛みもだんだんと感じなくなって来たらしいのだ。義父が家からいなくなったこともあるのだろうが、やはり毎日カプサイシンを摂取して、血のめぐりがよくなった事が原因だと思う。

 そして今、とても驚いている事がある。

 春先に悩まされる人が多い花粉症。カミサンも長年苦しんで来たが、今年は未だに症状が出ていないというのだ。昨日あたりは最高気温が10度を大きく超えてきて、庭の藤の種も爆ぜ、いよいよ来るなと構えていたらしいのだが、未だに症状が出てこないという。

 もしかすると、韓国の食事からカプサイシンを大量に摂取していることによって、血のめぐりばかりか、長年苦しめられてきた花粉症体質までが改善されたのではないかと思っている。

 だとすれば、これはすばらしいことだ。

 私たちが好んで食べている韓国の食事の原材料は野菜が殆ど。調味料も一度買い揃えれば何度も使うことができるので、経済的にもとても助かっている。カプサイシンは熱を加えても組織の変化がないため、日本の味噌汁のように気を遣うことなく煮込む事ができ、これもカミサンの性格にとても合っているようなのだ。

 我が家の冷蔵庫には、自家製のキムチが並んでいる。各種物価が高騰する中、スーパーで新鮮な野菜がお手頃価格で手に入るのは経済的にもとてもありがたい。

 経済的にも、健康にもいい韓国の食事に、今は心より感謝している。

 かつては嫌韓だったカミサンも、今は韓流アイドルグループ内に推しができて、毎日充実した日々を送っている。

 久しぶりにいいことがあったので、これからもこの調子で続いてくれればなと思っている。