義父はダイソンの扇風機を使っていた。
まだ家にいた頃は、なんだこんな高級な品物を使いやがって、と、正直思っていた。
それなのに、彼が介護施設に入り、この家にいなくなった今年は、これをちょっと使わせてもらおうかなと思い、倉庫状態になっている彼の部屋から取り出して運転テストをしてみた。
しかし、リモコンがどうしても見つからない。おそらく、彼の荷物を造ったときに、テレビや何やらのリモコンと一緒に、彼の所へ送ってしまったのだろう。
この品物、リモコンがなければ、全く機能しない。リモコンなしでは、電源を入れる、切る、しか操作できない。風量の調整とか、首振りの調整とかができない。
いつものように、メルカリで見てみたが、この手の商品は商売でやっている人が多く、とても高い。2500円も、リモコン一つに出すことはできない。
Amazonでも見てみると、さすがに大陸製品の取り扱いがあった。誰かが無在庫販売をしているようで、届くのが遅いのに加えて、電池を入れても全く動かないというレビューが多く、この商品はこの状態では、機能しないもの、すなわち偽物に見えた。
それならこっちだろうと、本場の大陸通販のサイトを見てみると、300円とか400円とかで、送料もちょろちょろで、ゴロゴロと販売されていた。
ということで私は、この中国の通販サイトから一つと、前述のインチキAmazonから一つと、ボタン電池を一応三つ、買った。もし動いたら、在庫品として、試運転済みです、として販売すれば売れるのかな、なんて思惑もあった。
注文から18日経った昨日、中国からの製品が届いた。電池を入れて試してみると、ものの見事、評判通り、うんともすんとも言わなかった。やっぱりダメだ。
Amazonの方も同じ日に注文したのだけれど、まだ届かない。これも期待できない。
義父が世話になっている施設に電話して聞いてみようとも思ったが、そうすると彼の頭の中に私が出てきてしまうだろうから、これは潔くやめた。
もしかして、メルカリで普通の人が出品していないかともう一度みてみると、それはないばかりか、この中国製品をテストして、互換品として2700円で売っている人がいる。もう、見るのもいやになった。
おそらく次に届くAmazonで買った商品も、ダメだろう。
やっぱり一番はじめに思っていた、ダイソンに対する私の思いを貫くことにしよう。
この会社の製品は、私には似合わないようである。
