トラック運転手の現実:スタッドレスタイヤ交換に見る職場の違い

トラックのスタッドレスタイヤへの交換が本格的に始まった。

 私が仕事でお世話になっている、傭車で入っているのは、おそらく業界でも最高峰に待遇のいい会社。

 一方私の所属している、給料をもらっている会社は、地元でも黒いんじゃないかと噂されている、見る人が見ればちょっととんでもない会社。

 私は両極端を見ることになる。

 仕事先、傭車先のトレーラー達は、整備もディーラーで行われており、その延長上でタイヤ交換も行われているようだ。

 この前なんかは、帰りの足付きで(運転手以外の人をもう一人連れて)、ヘッドと台車、全てのタイヤが交換されたトレーラーが納車されてきた。タイヤにはタイヤワックスがかかっており、ピカピカだ。

 これが最高峰のタイヤ交換。

 一方で私の所属する会社は、全てを自分で行わねばならない。

 予定も組まれなければ指示も出されることはない。特にバイトの私には。

 例年タイヤが到着する11月になると、みんな空いた時間を見つけて、我先にとタイヤ交換を始めるのだが、今年は社長が「まだ早い」とかの指示を出したようで、なかなかタイヤ交換が始まらない。

 こうなってしまうと、12月に入ってからタイヤ交換が集中するだろうと思い、私は会社側と連絡を取りながら、その頃を見計らっていた。

 月曜日から土曜日まで、一週間の辛い仕事を終えた土曜日の夜7時過ぎ、来週になると始まるだろうから、楽にできるのは今日しかないと思い、タイヤ交換をはじめた。

 始めたはいいものの、問題が発覚。

 タイヤに空気を入れる道具がない。

 正式には、空気入れと、どの位のエアが入ったかを示すゲージが付いている道具がない。空気を入れるホースだけはある。

 これでも出来ないことはないが、どの位の空気が入ったかがわからない。

 考えた末、自宅にあるゲージを取りに家に帰り、自分の道具を使ってエアの調整をすることにした。

 しかしこれがなかなか効率悪く、時間がかかってしょうがない。

 大型車のタイヤ交換、トレーラーヘッドの6本、タイヤ交換を終えると、なんとまあ、翌日の12時を超えてしまっていた。

 所属会社のトルクレンチも壊れているので、ナットはインパクトの1で、あまり締めすぎないようにして、後日工場からトルクレンチを借りて調整だ。

「あとどの位かかるの?」

 痺れを切らしたカミサンから電話が来て、大変申し訳ないと思った。

 こちらはアドレナリンが出ているので、何ともないのだけれど、待っている側のカミサンには大変な迷惑をかけてしまった。

 長尺もののYouTubeなどを見ながら待ってくれていたようだが、さすがにあくる日になるとは思っていなかったようである。そりゃそうだ。

 そんなこんなで、とりあえずタイヤ交換ができたので、まずはよかった。

 しかし、翌日の日曜日は疲れ果てて、何もすることができなかった。

 もうちょっと楽に生きたいと思う一方で、これが自分の人生なのかな、なんて思ったりもした。

 大型車のタイヤ交換ひとつ取ってみても、人生いろいろなのである。