カミサンと仲の良い友人には、娘さんと息子さんがいる。
私達の世代は、適齢期に結婚し、子供に恵まれていれば、おそらく今頃は30歳前後の子供がいるはずである。
この友人の娘さんは東京で働いているのだが、つい最近、某大手企業に勤める彼氏ができたらしい。いや、厳密に言うと、前から彼氏はいたらしいのだが、替わったらしい。
産まれたときから彼女を知るカミサンは「ちょっと老けたなぁ」なんて失礼な事を言っているが、現在30歳の彼女は、誰が言ったのだか忘れてしまったが、街を歩いていると何人もの男性に声をかけられるというような感じの、可愛い子である。若者のファッション誌にも載ったとかで、その写真を見せてもらったこともある。
彼女はIT関係の仕事をしていて、稼ぎもいいらしい。
気になるのはどこで知り合ったのか?ということだが、これが会社ではなく、マッチングアプリなのだそうだ。
今の時代、スマホと言うデバイスと、アプリと呼ばれるシステムが普及し、「マッチングアプリで出会いました」と、堂々と親にも友人にも言うことができる時代になった。結婚式でなれそめを披露したところで、何ら問題はないだろう。
私は屋久島に行く前、とある彼女と付き合っていたのだが、この彼女との出会いは、笑っちゃうかな「テレクラ」である。
テレクラはサクラが多く、会う約束をしたところで、殆どがすっぽかしなのだ。いつかも話したかもしれないが、待ち合わせ場所に行くと、いたずらで呼び出した高校生数人のグループに指を差され、笑われた事もあった。今の時代なら逆セクハラで訴えることができるかもしれない。
この頃は今のように、スマホもLINEもない時代である。でっかい携帯電話やPHSが普及し始めてはいたものの、通信費はべらぼうに高く、これらのデバイスは出会いに使える代物ではなかった。電話での約束だけが頼りだったのである。
そして仮に出会いが上手く行き、最終的に結婚を考えるとなっても、問題となるのは出会いの場だ。
私の親の場合は無関心だったので、そんなことを突っ込まれる事はなく問題なかったのだが、彼女の親は「どこで出会ったの?」と、盛んに聞いてきた。
彼女は「ん~喫茶店みたいなところ」とか言っていたらしいが、即答できない時点でかなり怪しまれていたと思う。仮にこのまま進んだとしても、結婚式で「ふたりのなれそめは、テレクラで…」などと言える時代ではなかった。
そんな経験をしているので、マッチングアプリで出会いました、と、堂々と言えるカミサンの友人の娘さんがとてもうらやましく、また、時代は変わったものだと、つくづくおじさんは思うのであった。