マラソンの季節になった。

 私が仕事をしたり、休みの日に出歩く地区は、全国的なマラソン、駅伝のコースになっている。

 先だっての日曜日、コロナや台風で延期され続けていた復興マラソンが、5年ぶりに行われた。これはあまり私の記憶にはないマラソンだ。

 コースを見てみるとびっくり、何と私の家のすぐ近くの幹線道路を通ることになっている。この道路は国道ではないものの、工業地帯のある海側の沿岸地域から国道4号線の北行きに抜ける際、トラックがよく通る道なのだ。

 今回は日曜日ではあったものの、かなりの時間片側一車線の規制になる。

 スタートは、時々見かける方もいらっしゃると思うけれど、私が仕事で時々行く貨物ターミナルの近く、楽天のスタジアムの裏側だ。隣にはカミサンが救急車で運ばれ、脳外科の集中治療室にお世話になった仙台医療センターがある。

 ここから救急車で運ばれた道とほぼ同じ感じで私の家の前を通り、更に私の通勤する道を通って沿岸部に抜け、よく仕事で走る復興を象徴するかさ上げ道路に入り、隣町の名取市でゴールとなる。

 ホームページを見ると、かなり気合いの入った告知がなされているし、私が仕事をしている道にも横断幕やら看板やらで、いつもの駅伝とは少し違う感じの告知が大々的になされていた。

 日曜日だったので、私はそれほど気にするでもなく過ごしていたのだが、9時過ぎにカミサンが仕事にでかけるとすぐ、電話がかかってきた。

 どうやら家のすぐそこまで規制が張られており、今まで見たことのない数の警備員が配置され、片側一車線に規制された道は大渋滞、迂回路がわからずにうろうろする車が続出、大変なことになっていて面白いから見てみるといいよ、とのことだった。

 日曜日の朝だし、あまり気も乗らなかったが、カミサンがそんなに言うのならとつっかけをひっかけて道路に向かうと、あら大変、まさしくカミサンの言った通りになっていた。

 いつも普通に帰ってくる路地にも警備員がおり、誘導しているようなのだが、迂回路があまりわからないようだ。

 ピンクの軽自動車の奥さんが来て、道の向こうのあそこのお店に行きたいんですけど… と言っても、マラソンの通る道は直進禁止で左折しかできず、行くことができない。

 本能的に身体が反応してしまい、私がそのお店までの迂回路を教えてあげた。

 マスクをして化粧もバッチリのピンクの軽の奥さんは機嫌悪そうに去って行ったが、警備員のお兄さんからは心の底から感謝され、私も久しぶりに人助けができて気持ちがよかった。

 家の中からは、二階に上がると建物の間からその道路が少しだけ見える。

 何気に見てみると、何とマラソンの人たちが道路を走っているのが見える。

 駅伝のように数人しかいないのではなく、ランナーは次から次へとやって来る。

 30分以上は列が続いたと思う。

 夕方になり、地元局のニュースを見てみると、ランナーは数十人レベルではなく、何と8000人を超える人たちが私たちの街にやってきて、走ってくれたのだという。これだけでもありがたい限りだ。

 同級生の中にもマラソンをしている者がおり、時々話を聞いてはいたのだが、実際にこうして身近で見てみると、企画運営なども考えると、とてつもないイベントなのだと言うことがよくわかった。

 この時期は各地で様々なマラソンが開催されている。

 全国のニュースにはならないようだが、これからも一年の中の行事として定借していけば面白いな、と思った。