夫婦の朝に流れる静かなすれ違い

 今朝は妻の機嫌が悪い。

 昨日、おそらく一人しかいない仲のよい友人と会い、珍しく夜遅くに帰ってきた。

 帰って来た際、私が二階から出迎えようとすると

「降りてこなくていいよ、風呂入るから」

 と言って制止されたので、私もあまりいい気分ではなく、彼女が風呂から出た後も話をするでもなく、部屋に閉じこもっていた。

 いつもなら、ああだったこうだったと、いろいろと話をしてくれたり、お土産があったりなのだが、時間が遅かったということもあり、それはなさそうだったので、私は部屋に篭もってだんまりを決め込んだ。

 今朝は一緒に朝食を取ったが、お互い一言も喋らない。

 まあ、夫婦も長ければよくあることなのだが、あまり気分がいいものではない。

 私は無理やり話しかけようと思う時もあるのだが、今回はそうしない方がいいと思い、そのままの流れで、日曜日の朝の時間を過ごした。

 私が風呂に入ると、彼女はAmazonのアレクサで音楽を聴きだした。鼻歌も聞こえてくる。これがまず一つの目安だ。

 例えば私に非があって、何か言いたくても言えないから黙っているような場合、音楽はかかるけれど、鼻歌は出てこない。

 気まずいというか、気遣うというのかよくわからないけれど、その後は彼女と一緒の部屋には極力入らないようにして、様子を見る。

 最後、スマホを充電器から取り外すのに部屋に入り、

「それじゃぁ、行ってらっしゃい」

 というと

「行ってきます」

 と、普通弱位の感じで返事をしてくれる。その表情の中に私に対する怒りはないように見える。

 おそらく私ではないとは思うのだけれど、何かに引っかかっているのは事実だと思う。自分自身なのか、それとも彼女の友人の体調か何かなのか、パートナーの悩みは共有したいとは思うものの、そう簡単ではないケースはいくらでもある。

 いくら長い間夫婦をやってきたからと言って、相手のことが何でもわかるわけではない。

 一人だったら楽だろうな、と思うことも、正直ある。

 しかし、縁あって一緒になり、ここまで25年もの間一緒に暮らしてきた。それは、そう簡単に考えるべき事ではないと、私は思っている。この辺りは、人により、世代により、考え方が違うこともあるとは思う。

 私は今朝、これに少し引っかかっていたので、いろいろと考えていたのだが、あまり考えすぎるのもよくない。適当にやり過ごして、時間が解決するのを待つのがいい場合も多い。

 ここ最近は一日中頭を使っているので、少し引っかかりがあると良くないなと思い、こんな風にしてこれを書くことで頭をスッキリとさせ、いつものルーティーンに戻ることができればと思い、今日の朝はこれを書いている。

 彼女にこれが見つかったらとか考える事もなくはないが、もうそんなのどうでもいいという感じになっている。数年前の大喧嘩で、私もこんな風になった。

 私は今、外界からは遮断されており、どこにも行かないし誰とも喋ることはない。毎日帰ってくるカミサンだけだ。

 唯一ここだけが、自分をさらけ出して、自由になれる場所なのかもしれない。