![年賀状2023と屋久島](https://i0.wp.com/xn--68j3bk2iq712awn3b.jp/wp-content/uploads/2022/11/DSC00052.jpg?fit=640%2C425&ssl=1)
毎年この時期になると、喪中を知らせる葉書が届く。
何通か来る年もあれば、一通も届かない年もある。
年賀状という習慣の見直しや、スマホの普及に伴い、最近はあまり来なくなったような気がする。
そんな中、昨日ポストを確認すると、それらしき葉書が届いていた。
差出人は、屋久島に住んでいた時、コンテナ倉庫をお世話して下さった、神戸の会社の社長さんだった。
私は屋久島にいた時、あれこれと私物を持ち込んでしまったために、キャンピングトレーラーだけでは収納がどうにもならなくなってしまった。東京トヨタにいた際に購入したカルディナのルーフラックを2つ持って行ったが、それでも全然足りなかった。
これからも荷物は増えるだろうことと、屋久島は大きな台風の通り道ということなどを考え、コンテナの倉庫を検討することになった。
今は後を追ってコンテナの仕事をするようになったので、NYK(日本郵船)やらMAERSKやらMSC、複合体であるONEなどを知るようになったが、当時はコンテナのことなど何もわからない。
インターネットの黎明期、高い接続料を払いながらネット検索をすると、出てきたのがこちらの会社だった。
お世話になります。はじめまして。私は東京出身、34歳の独身の男性です。高卒で就職しましたが、ストレスと将来の不安を感じながらの会社勤めに疑問を感じ、長年の夢であった屋久島での田舎暮らしをはじめました。土地はあるのですが、キャンピングカーで暮らしているため、収納に困っています。荷物が多くなってきたことで、屋久島の風雨にも耐えられるコンテナ倉庫の購入を検討しています。ちなみにこのようなホームページを作り、毎日の暮らしを発信しています。仕事はとびうおの漁師をしています。どうかよろしくお願いします…
このような感じでメールを書くと、すぐに社長から連絡があった。
当初は窓を付けたり、換気扇を付けたりしたいと要望したのだが、社長からのメールには、
屋久島の強い日差しを考えると、冷蔵タイプのコンテナ(リーファー)が良いと思います。あまり加工しない方が剛性も保てるしおすすめです。とりあえずこんな在庫がありますので、見てみて下さい。
と書かれており、デジカメで撮影された実際のコンテナの写真が添付ファイルで送られてきた。
当時はデジカメが出始めたばかりの頃で、このようにパソコンで綺麗な商品の画像を見ることができて、とても感動したのを覚えている。
何度かメールをやり取りしていくうちに、こちらの社長さんは私の屋久島での暮らしに感動してくださった。是非とも応援させて下さい、と、心強い応援をいただいた。
結果として、20フィート(短いタイプ)のリーファーバン(冷蔵装置の付いたタイプ)を、予算内で手にすることができたのである。
今から考えると、冷蔵タイプのコンテナは、冷却するための機械が付いているのと、天井、壁、扉と全ての面に断熱材が入っているので、屋久島の強い日差しを遮る効果があるのと同時に、空の状態でもかなりの重量があるので、台風にも強い、というメリットがあった。
これがご縁で、社長は私の書く「屋久島のとびうお漁師の日記帳」を毎日読んで下さり、結婚が決まった際にも暖かいメッセージを下さり、毎年年始には年賀状のやり取りをする関係が続いていた。
こちらにコンテナ倉庫販売の支店を出店される際には、私も花を買って応援に駆けつけ、はじめてお会いし、ご挨拶をした。
そのような関係が続いていたのだが、ポストの中から葉書を取り出してみると、「このご時世の流れを鑑み、年賀状のご挨拶を辞退させていただくことになりました」と書かれていた。
仕方ないよな、と、思うと同時に、当時のことなどを思い出すと、かなり寂しい気持ちになった。
屋久島関係では、あと、私達が結婚する際に、ニューカレドニアでの結婚式と新婚旅行をプロデュースして下さった会社の社長さんと、屋久島時代にお世話になった民宿華のやさん、それとあと数人、お世話になった方々と、年賀状のやり取りが続いている。
時代は変わろうとも、やはり私は年賀状の挨拶は、日本人として大事だと思う堅物の一人である。特に私の人生において、屋久島時代の想い出は貴重な、かけがえのない財産なので、年賀状はそれを現物化したものということになり、他の方々よりも増して、思い入れが深い。
今年は少し減ってしまったけれど、相手の方がいらっしゃる限り、私の読み書きの能力が衰えない限り、細々とでもいいので、年賀状のやり取りは続けていきたいなと思っている。