10月も半ばになり、さすがに寒くなってきた。

 20年以上前、こちら東北地方へ来て、二番目に働きはじめた運送会社では、10月中にトラックのタイヤをスタッドレスに取り換えるという慣習があり、この時期からタイヤ交換を行っていた。

 先日、妻の母の命日だったのだが、30数年前、妻の母が亡くなってしまった時期はとても寒く、ストーブにあたらずにはいられなかったと、妻が言っていた。

 数十年で、かなり気候が変わってしまった。

 施設に入っている義父は、地元の米穀店と仲がよかった。いつも最高級のササニシキを好んで買い求めていて、灯油は価格など気にするでもなく、当然のように配達してもらっていた。

 さすがにササニシキは食べなくなったが、灯油の配達は未だに続いている。

 私が来てすぐの頃に、電話注文から定期配送になり、毎週木曜日になると、2トンのタンクローリーが来て、家の裏にあるボイラー用の灯油タンクと、玄関前のストッカーに入っている18リットルの灯油タンク4つを満タンにして行く。

 この原油高で、高い時には、一回入れてもらうと2万円近くになってしまうこともあった。義父は起きるとすぐにでっかい石油ストーブをガンガンと焚いていたし、風呂に入る数時間も前にボイラーを焚き始めていたし、これらが勿体ないと思いつつも、私たちは彼が支払いをしていた事から、何も文句を言うことはなかったが、大きなストレスを抱えていた。

 この義父も施設に入り、状況は変わった。

 いつもは義父と配送員さんとで話をして、灯油を入れる時期を決めていたようだったが、今回は妻が指示をした。

「灯油タンクには、2つだけお願いします」

 一気に4つも入れてしまうと、それこそ裏のタンクと合わせれば2万円コースになってしまう。もう二人だけなのだから、少しずつでいい。

 私がタンクローリーで灯油の配送をしていた頃、確かどこかのホームセンターでは灯油一缶、18リットル、780円位の時もあったように記憶している。

 先日テレビのニュースでは、生協の配達灯油は、18リットルで2000円を超えていると報道されていた。おそらく我が家だって同じくらいか、それ以上だ。

 エアコンとどちらがいいのかという話もあるが、さすがにこちらは東北地方なので、石油のストーブを焚いて過ごしたい。エアコンの暖房では、やはり物足りないし、電気代も馬鹿にならない。

 ありがたいことに、と言っていいのか、今年の冬は暖冬の予報が出ている。

 昨年マイナス8度になった時には、とても寒かった。
 一昨年は、灯油システム配管内の擬水が凍ってしまい、トラブルになった。

 暑いのも辛かったけれど、寒すぎるのもまた大変だ。

 適当に、寒すぎることなく、灯油代もあまりかからない、例年通りの冬になって欲しい。