無駄使い

 義父の貯金通帳をカミサンが管理するようになり、いろいろなことがわかってきた。

 リハビリとは名ばかりで、彼的には身体を洗ってもらいに週三回行っていたデイサービスと、何の為だかもわからない、週に一回の訪問看護サービスとで、月に約5万円程を支払っていた。

 要介護が2、おそらく2割負担である。

 娘であるカミサンと義父とは、一緒の家に住んではいたものの、全く言葉を交わしていなかったので、このようなお金の事に関しては知る由もなかった。

 その他に、今の季節なら灯油代を払っていたわけだが、これも週に一度来てもらうと、多い時には120リットル位入ることもあった。彼は家にいる際、朝から晩までもったいないという意識もなく、バンバンと灯油を焚くので、こんな額になってしまっていた。

 電気も上下水道も同様だ。今は私達が管理するようになったので、少しずつ改善されてきたものの、かつてはこの二つで、信じられないかもしれないが、5万円以上になることもあった。

 ドコモの引き落としは、これまたびっくり毎回2万4千円だ。

 加えてヤクルトの1万5千円。タクシー代と諸々の買い物…

 全くもって、お金がかかるのだ。

 節約意識がないのだから、お金なんていくらあっても貯まるはずはない。

 今は大腿骨を骨折し、手術をして、透析をして、リハビリができるようにとの目標を持ち、病院にいる。病状などの連絡はない。ドクターの説明では、一か月から一ヶ月半は入院するようになるかもしれないとのことだったので、おそらくこの通りなのだろう。

 不謹慎な発言ではあるけれど、病院にお世話になっている時が、一番お金がかからないのかもしれない。

 電話代は、依頼書をもらって、ドコモに見直しに行こうと思っている。

 その他、節約できるところは徹底的に節約して、今後を乗り切っていかねばならない。
 食費に関しても、彼はワタミの宅食を取っていたので、白いご飯が必要な事から、カミサンがいつもご飯を炊飯器の中に用意しておく必要があった。

 自分で好きな物を買ってきた時にはこれも食べなかったりして、カミサンは大きなストレスを抱えていた。何せ、何も喋らないのだから、コミュニケーションも取れず、どうにもならなかった。

 洗濯にしても、彼の下着は5-6Lで、綿の乾きにくい素材の、パンツ、ランニング、ステテコだった。カミサンは一緒の洗濯機で洗うのを嫌がっていたので、毎日二回洗濯機を回しており、洗剤代、電気代、下水道代がかさんでいた。毎日毎日、下が緩んでいるせいで、このセットを2つも3つも出していたので、洗濯機から取り出して、干したり乾かしたりするだけでも大変な仕事だった。カミサンは50肩で腕が上がらないこともあったので、私もしょっちゅう手伝っていた。

 彼が家からいなくなったことで、これらもろもろが劇的に改善されて来ている。

 今後の事を考えてしまうとまたストレスになるので、今は解放されたこの状態を楽しむようにしている。