先週の土曜日は、カミサンと一緒に福島県に行って来た。
この時期、福島県では桃の出荷が最盛期となる。私もタンクローリー運転手の時、この地域のあっちこっちに行って、様子を見てきていたので、感覚でわかっている。
国道4号線沿いに「道の駅国見」という所があり、この時期、桃の販売で施設内はごった返す。私の休みの関係上、土曜日しか行くことができないので、昨日行こうと前から決めていた。混雑は覚悟の上でである。
いつもは9時からの販売所が、30分繰り上げで、8時30分からの営業だとホームページに書いてあった。早く行きたかったものの、あまり早すぎるのも疲れるかなと、朝一番の人たちが一回りし終えるだろう、9時着を狙って出発した。
予想通り、駐車場はいっぱいだった。ここの施設は警備員ではなく、関係者のおじさん達が、がんばって駐車場の交通整理をしてくれていた。まだ朝だったので、エネルギーも消耗していないようで、元気いっぱいに誘導してくれ、きもちが良かった。
施設内は人だらけ。みなさんの目標はやはり桃である。贈答用から普段買いのような物までいろいろとあったが、やはりメインのメインは、はね物の格安販売である。傷ついたり、小さかったり、規格外のももが、A4よりもちょっとだけ大きい位の段ボール箱に入って、信じられないような価格で販売されている。「こちらは自宅用なので、発送はできません」とも書かれていた。
そのコーナーは施設の奥にあり、私たちが行った時にはもう残り僅かで、私たちが2箱買い求めたと同時くらいに、全て売り切れてしまった。
隣にいた子供が
「あれ見てたんだけど、取られてなくなっちゃった」と、親に言っていて、ちょっとかわいそうになってしまった。
今日のお目当てはあと2つ。
もう一つは、磐梯吾妻スカイラインの入り口近くにある、韓国料理店である。道の駅ふくしまで販売されていたキムチがとても美味しかったので、その商品の住所だか屋号だかで検索して、見つけた。カミサンは以前友人と一緒に来ていたので、迷わずに辿り着くことができた。
このようなお店は、話をはじめると奥が深い。
1980年代、東北地方の過疎の地域では嫁不足が深刻で、海外から嫁をもらうという事業が行われていた。山形県の朝日村という所からはじまり、東北地方に広がった。
韓国から、右も左も言葉も文化も何もかもがわからない異国の過疎の地域へ嫁に来て、何とか今までがんばって、ここまでやってきてくれている人たちが経営しているお店なのだ。
このように成功を収めている人もいる一方で、馴染むのは難しく、帰って行った人も数多いと聞く。日本の田舎の地域なので、「嫁を買った」というような感覚だった人もいたようで、彼女たちは私たちが考えられない苦労をして、ここまで生きてきたのだ。
店の中で店主のおばさんは、友人と「もも」をつまみながら、韓国語でたわいもない話をしていた。まだ、開店には早かったのだが、仙台から来ました、と言うと喜んで私たちを招き入れ、オーダーを取ってくれた。
私たちは最近、韓国料理ばかりを食べているので、それなりに味がわかるようになってきたのだが、やはり本場の人が作る料理やキムチは何かが違う。
このように、韓国の人が作る本場の味が楽しめる場所は本当に貴重だと思っている。その歴史を考えると私たちも込み上げるものがあり、とても貴重な機会になった。料理の他にも、各種キムチと、梅のエキスなども買い求めた。カミサンは保冷剤を忘れてきてしまったのだが、何とハングルの書いてある保冷剤を、こちらの方がサービスしてくれた。ハングルが書いてある物など日本には流通していないだろうから、これもとても嬉しかった。
その後、磐梯吾妻スカイラインを上ってみようと言うことになり、はじめてこの峠を車で上ってみることに。レストハウスの少し前で、有毒ガスが発生している所があり、駐停車禁止、とか、窓を閉めて走行して下さい、とか、ちょっと怖い看板を目にしたのだが、この峠を自転車で上がってくる人が何人もいて、大丈夫なのかな、と思った。吾妻山頂上付近のレストハウスは、駐車場が500円なのでここには入らないで、折り返しで麓まで帰った。途中は霧の中で気温も20度位の所があったりで、楽しいドライブとなった。
最後の行き先は、福島市内にある、韓国グッズを売っているお店だ。
ここもカミサンが見つけて、前述の友人と行ってみたものの、店が閉まっていて入れなかったというお店。聞けば、お店の人が韓国に買い出しに行き、さて帰ろうという時になって、韓国の航空会社のパイロットの組合がストライキを決行したためらしい。
福島県は福島市に県庁所在地があるものの、実質的には郡山の方が栄えていると言われている。それを象徴するようなシャッターの閉まっているお店が多いメインの通りから少し入った所に、そのお店はあった。
カミサンは楽しそうに、今日の目標である推しのグッズを買い求め、私も「スキズくじ」なるものを引いて、(引かされて)、K-POP職人のグッズ収集に一役買った。隣に併設されているカフェで、カミサンは韓国のかき氷を、私は少し前にコーヒーを飲んでしまったので、珍しくカフェモカをオーダーして、ここでも仙台から来ました、と言いながら、楽しくお話をして帰ってきた。
最後に近くに神社があるというので、歩いて福島稲荷神社へ。本当に、ちょっと歩くと歴史を感じる昔ながらの神社があった。境内では声高くセミが鳴いており、このレベルのセミの声を聞くのは久しぶりだなと思った。木の根元を見てみると、いくつかセミが出てきた穴が開いており、これを見るのも久しぶりだな、と思った。
最後の最後に、宮城県の大河原にある、イエスマートという、韓国食材のお店に行って買い物をした。ここの駐車場がとても混んでおり、今日は大盛況かと思ったのだが、ちょっと違って、隣に新しくできたドミノピザが半額セールをやっているからだった。かつてはイエスチキンという、韓国の料理を提供する店だった所がドミノピザになり、こんな風に繁盛しているのを見るのは、ちょっと物悲しい思いがした。
ということで、夏の一日、福島県を満喫して帰ってきた。
私たち夫婦は、やはり福島県に対しては、原発の事などもあり、特別な思いがある。
これから風評被害がどうなるのかは神のみぞ知るところだけれど、何とかがんばって欲しいものである。