義父がお世話になっている施設の看護担当の方から連絡があった。

 義父は2日、ペースメーカーの点検で、病院に行かねばならない。

 要介護5の義父は、施設内で寝たきりの生活を送っている。

 連絡は「病院へはご家族様で行かれますか?」という確認だった。

 もちろん私たちが寝たきりの彼を病院に連れて行く事などは不可能で、施設の方にお願いするしかないので、その旨をお願いした。

 時間あたりの付き添い費用と、タクシー代とで、15,000円位かかるかもしれませんとのことだったが、仕方ない。

 昨日、夕方になってもう一度電話があり、身心障害者医療費受給者証をはじめとする、3つの書類の原本が必要なのですが、明日の午前中までに何とかなりますか、とのこと。

 これらは最近更新されたので、施設へ写しを送ってあったのだが、原本が必要なのだという。電話が来たのは夕方、次の日の朝までに必要なのだという。

 昨日なら私は休みだったし、カミサンも施設の近くに出かけたしで、段取りよくお持ちすることができたのに、と思い、「昨日言っていただければ…」と、思わず一言だけ言ってしまったが、冷静になって、あの状態の義父を病院に連れて行ってくれるのだから何とか協力しなければと思い、夜に届ける事を約束した。

 施設側が言ってきたのは、三種類の書類だけだったけれど、病院に行くのだから、診察券も必要だろう。保険証の代わりにマイナンバーカードだっているかもしれない。身障者手帳もいるかもしれない。
 
 後から追加で言われるのはもう嫌だったし、言われても対応ができないので、とにかく手元にある彼の様々な書類を全て持っていくことにした。

 夕飯が終わり、夜の8時過ぎ、電話をしてから施設に持って行った。

 カミサンは私に対して申し訳ないと恐縮する事然りである。でもここは私が動かなければどうにもならないし、いくら施設の人の段取りが悪いと嘆いたところで話は進まないので、前向きに考えて、これで何とかなった、と思うことにした。

 義父は施設に入り、確か通院が必要なのは、年に一回のこのペースメーカーの検査だか点検だかチェックだかだけだったと記憶している。それ以外は、例えがんを発症しようとも、糖尿病で低血糖状態になったとしても、病院には行かないという契約になっている。

 健常者で自分で車を運転する事ができるのなら、数百円の燃料代で医者に行くことができる。しかし寝たきりになってしまうと、15,000円もかかってしまう。

 月に二回、腹膜透析や糖尿病、その他各種病気に関する訪問医療も受けているが、これだってとんでもない額を国の医療システムからお支払いしている。

 子育てに対する支援や、これからがある人たちに対する医療の支援は当然必要だと思う。

 だけど、今のこの状態の彼に対して、ここまでしてあげることが果たしていいのか悪いのか、少なくとも私はいいとは思わない。

 ご賛同いただけるとは思わないが、今日、今すぐシステムにメスを入れないと、日本はお金がなくなって滅んでしまうぞ、というのが私の持論である。