50代・60代の運送業の現実:健康管理と老後への備えを考える

 所属している運送会社も多分にもれず、私のような年齢層の運転手が多い。

 昨日早く帰って来ることができたので、担当のシャーシ、トレーラー部分のタイヤのローテーションをした。

 終わると、年の頃おそらく同じくらいの同僚がやってきて、話しかけてきた。私が引き取ってきたコンテナを明日配送するとのことで、書類をもらいに来たようだ。

「今日は休みをもらって、胃カメラを飲んできたんですよ。荒れているみたいなんですけど、異常なしで助かりました」

「俺も昨日コレステロールの薬をもらいに行ったんだけど、値が想定内に入っていないとか言われて、薬を1mgから2mgに増やされちゃったんですよ。お互い気を付けなきゃいけませんね」

「私も血圧の薬を飲んでますよ。普通に160とかになっちゃって。ここまで上がっちゃうとちょっと調子悪くなりますね。飲むと130位になって落ち着きますけど… 夜食べて酒飲んですぐに寝ちゃいますから、仕方ないですよね」

 こちらの方は、適当な契約の私とは違って、全国を走り回って、会社の言う通りにきちんと仕事をされている方だ。不規則な生活、コンビニ弁当の食事、不規則な睡眠、身体に負担がかからない訳がない。本当によくやっていると尊敬するけれど、身体が心配だ。

「そういえば知ってました?〇〇さん、胃がんが見つかってすぐに手術したんですよ。今も入院してますけどすぐには戻れないでしょうね」

 〇〇さんも同じように会社の仕事をきちんとされている方で、歳はおそらく同じくらい、勤務状況がとてもいいので、何度も会社から表彰されているような人だ。

 症状などはなく会社のバリウムで引っかかり、はじめて胃カメラを飲んだところで発覚したのだそう。検査で即入院手術になったとか。本人、家族とも、突然大変な状況になってしまうのが病気の恐ろしい所だ。私もカミサンの病気で実際に全てを経験しているので、これは身に染みて感じている。

 同僚がこんな風に病気に冒されながらも頑張っているのを目の当たりにして、私も更に気を付けなければなと思った。

 私なんかはこちらの会社の正社員の方々とは違って、毎日自宅に帰ることができるので、きちんとカミサンに食生活を管理してもらっている。自分でも健康には気を付けていて、毎日血圧を測定しているし、健康診断の結果を見ながらいろいろと考えているつもりだ。それでも人の営みとしての老化自体を防ぐことなどはできず、コレステロールが高くなったり、代謝が悪くなったりしている。

 私でもこんななのだから、同僚の方々は尚更大変で、リスクを負いながらの仕事となっていると思う。

 働いてお金を稼がねばならない一方で、この先は自分の身体をケアしたり、管理したりすることも大切になる。もっと歳が進んでいけば、終活と言われるような、身の回りのことも考えねばならないだろう。

 59歳を境に、本当にいろいろなことがある。

 カミサンの同僚は50代から60代になった時も大変だったけど、それ以上に、60代から70代になったときにはもっと大変で、今もそれは続いている、と言っているらしい。

 あまり心配し過ぎるのも良くないのかもしれないけれど、実際に周囲からこのような声が頻繁に伝わってくるようになると、これからの事を考えずにはいられないのである。