オヤジの認知症

 8月の誕生日で92歳になる実家の父。

 実家のある東京都日野市の、小規模多機能ホームという所にお世話になっている。

 母がいなくなってしまった、だけど自分の家で暮らしたい… そんな父の希望を叶えるのにピッタリの仕組みで、こちらとしてはとても助かっている。

 こちらのサポートと、私と姉が監視している見守りカメラの設置とで、何とか父は自分の家をベースに暮らすことができている。

 自分で行うことが難しい入浴、洗濯などは、こちらの施設にお願いしている。

 昔から経理が好きだった父は、郵便局や役所の手続きなどは、未だに自分で行うことができるし、歩くこともそれなりだけれど問題なく行うことができる。近くのコンビニで食べ物を買って帰ってくることも、一応できる。この辺りは安心なのである。

 しかし、父はアルツハイマーではない認知症と診断されており、要介護2と認定されている。安心して暮らせるかと思いきや随所にこの症状が出る。

 最近困っているのが、エアコンの操作だ。

 「今日は暖房か、冷房か、何度にすればいいのか?」

 施設にお世話になる前、毎日のように私に電話がかかってきていた。私は当初は丁寧に対応していたのだけれど、今になって思い出してみると、やはりこのあたりから軽い認知症の症状が出ていたのかもしれない。

 「冷房にして、25度にして寝てね。エアコンをつけていれば暑くも寒くもないからね」

 私がこのように言っても、父は操作ができない時がある。

「ものすごく暑いんだけどよ~」

 あくる日の朝、姉が家に行ってリモコンを見てみると、除湿の30度になっていたりするのだ。

 こんな事が続いたので、施設の方に朝晩来てもらい、エアコンの操作をサポートしてもらうようにしているのだが、未だに上手く行かないことがある。

 こればかりは間違えると死んでしまうので、上手くできないものかといろいろと作戦を考えている。

 しかし相手は認知症を患っている病人。これが難しいのが現実。

 何とか教えて出来るようになってもらうか、とにかく寒かったり暑かったりしたら施設の方に電話するという事を徹底したいのだけれど、これがなかなかどうしてできないのである。

 最悪は、見守りカメラの設置で、実家にはWi-fiが飛んでいるので、私が遠隔でエアコンを操作するような仕組みも考えてはいるのだけれど、これは奥の手かな。

 姉曰く、施設の七夕の短冊に、百歳まで生きると書いていたらしいので、これを目標に長生きして欲しいものである。