昨日、いつも通りトレーラーを運転していると、突然メーター内に警告が現れた。
アドブルー噴射異常。
なんだこりゃ、とは思ったが、とりあえずトラックは動いているので、様子を見ることに。よく見ると、エンジン警告チェックランプと、アドブルー関連システム異常のランプが点灯している。
とある交差点を右折した際、ちょろっと見えた次の警告。すぐに消えたのだけど。
アドブルー補給。
嫌な予感がした。
予感は的中。渋滞の橋の上で、アドブルーがなくなったから補給して下さいの表示が出て、アドブルーの残量メーターを見ると、今までに見たことのないからっぽのレベル、アドブルーがないという状態に。
こりゃまずいな。
本能的にわかる。
車庫に電話すると、代車のヘッドはあるので、車庫に戻って差し替えた方がいいですね、とのこと。そりゃそうだわな。大型トレーラーではあったけれど、何とか進路を変更し、車庫に戻ることにした。
いつもとは違う少し細い道だったけれど、一応地元の範囲だったので、何とか進路を変更して、無事に車庫に到着することができた。
「どうしたの?」
足をぐるぐる巻いてヘッドを切り離し、代車に差し替えていると、工場長が不思議な顔をして話しかけてくる。
「アドブルーの異常が出て、なくなっちゃったんですよ、アドブルー。困ったっす」
「これだったんだ。車庫が連絡よこしたけど、どの車なんだか説明がないからわかんないんだよね。まあいつものことだからな…」
工場長は、私が車庫の担当者に送った画像だけが送られてきたような事を言っていたが、何ら慌てる様子もない。こんなのよくあることなのだろう。
「ヘッドどこに置きますか?」
「あのままでいいよ、動かすから。見てみますね」
そう言うと、工場長は私が再出庫する前にヘッドをピットに入れ、点検、修理をはじめてくれた。
荷物を入れ替えて運行に復帰。
慌てるでもなく、落ち着いて乗り換えは完了した。
しばらくして連絡があり、今日は遅れてしまったので、いつも3回の運行を2回にしてもらったとのこと。そして来週の予定の連絡。さらにその連絡は昼前ではあったのだけれど、ヘッドは直ったので… とのお言葉。
再出庫は8時14分。直ったんだ。こりゃすごいなうちの会社、と、今さらながらに思った。
うちの会社は、ブラックだの何だの、いろいろと言われることも多いけれど、いい面もたくさんある。
工場があるので、時間内に持ってくることができれば、こんな風に、驚くほどの短時間で解決できてしまうケースもある。ディーラーに近いという場所柄もいい。
これがもし最悪のケースだったらを想定してみる。
アドブルーのトラブルの場合、状況によってはエンジンが再起動できなくなることがあるので、エンジンを止めないようにしなければならない。
これを知らずに、「エンジンを再起動すればランプが消えるかもしれない」と思って、エンジンを止めてしまい、再起動不能になってしまうと大変だ。
何せ大型トレーラーである。道路は渋滞し、レッカーは目ん玉が飛び出るほどクソ高い。修理だってディーラーなら予約制だろうから、持ってきてすぐに修理できるとは思えない。
請け負っている仕事もできず、荷主や各取引先にも多大な迷惑をかける。自分だってその間は仕事ができなくなって、給料も減る。
配車が変われば、会社や同僚にも迷惑をかける。
これは最悪のケースだけれど、一つ間違えればこんな風にもなりかねない状況だった。
ヘッドは壊れてしまったけれど、何とか最低限のダメージで乗り切ることができて、本当によかったと思う。
何の会社でもそうだと思う。会社にはいろいろなやり方があって、その会社その会社でいいところや悪いところがある。
何度も言ってしまって悪いような気もするけれど、私のお世話になっている会社は、誰からもあまりよく見られていないような風潮を業界内でも存分に漂わせている、ある意味すばらしい会社だ。
でも、今回のようなトラブルの際には、誰もが成し得ないようなスピードで、トラブルを解決してくれる力も、一方で兼ね備えている。
給料も安い、労務もひどい、なんて言い出せばきりがない。
私はこの会社に対して、今回のようないい所を見つけているので、ここまで約10年もの間、お世話になっている。
非正規のインチキバイトだけどね。





