静かな畳の冷でヨガ

 
 毎日タニタの計りに乗って体重などを管理している。

 9月に退職して数ヶ月、5キロ位体重が増えてしまった。

 これはいけないと、食べる物をいろいろと考えたところで、一向に数値は変わらない。

 分析してみると、基礎代謝率が落ちている。

 こちらへ来てすぐの頃などは、タンクローリーの仕事をするのに、防寒着を身につけなくても平気だった。おそらく代謝がよかったのだろう、例え気温がマイナスになろうとも、あまり寒いと感じることはなかった。

 ところが最近は、寒いのである。

 朝起きて、部屋の中が氷点下だと寒くて、石油ファンヒーターを点けてから起きるという、テイタラクになってしまった。寒いのだ。

 しかし、基本的には代謝はいいのか、いつか東京の実家へ帰る際など、マイナス3度の中、新幹線に乗るべく、JRの最寄り駅まで歩いて行ったらダウンの中に汗をかいてしまい、駅のトイレの前で汗を拭いたなんてこともあった。駅のホームの椅子に座って立ち上がると、椅子が汗で濡れていたりして、やっぱり変な体質だなと思った。

 とにかくこれは加齢のせいだ、何とかしなければな、と漠然と思ってはいたものの、何もできずにいた。散歩も筋トレもちょっと行ったところにある市民のプールも、とにかく面倒くさい。出かけるのは床屋と歯医者と銀行、あとはカミサン任せで、これもまた最近はテイタラク一直線なのだ。

 ところが突然、ヨガをやってみようと思い立った。

 義父の部屋を綺麗に片付けたので、ぴったりのスペースがある。

 おそらくYoutubeにいくらでもヨガのチャンネルがあるだろう。

 今は使わなくなった予備のパナソニックのパソコンを見ながらやってみようじゃないか。マットも確か、ブルーインパルスの航空祭に行く時に場所取り用として買った物があったはずだし、パソコンのスピーカーも、Bluetoothで接続するアンカーのやつが確かあったはずだ。

 部屋は汚いが、道具の持ちはいいのが唯一の取り柄だ。これらはすぐに出てきた。

 早速見てみると、20分とか、15分とか、基礎代謝を上げるヨガとか、痩せるヨガとか、いろいろなタイトルの動画が出てくる。とりあえず上の方にあった、基礎代謝アップの10分のやつを選んでやってみることにした。

 ポキポキのお姉さん、インストラクターさんが、丁寧に、的確に解説してくれるのに合わせて身体をくねらそうとするが、そう甘いもんじゃない。昔から身体は硬いと言われていたのに加え、数ヶ月もの間、ほとんど机の前に座ったきりであるこの身体、そう簡単にほぐれるわけがない。

 でも、とにかく同じようにやってみると、やはり思った通りで気持ちがいい。庭の様子と、自分の愛車ランクルが目の前に見えるのもまたいい。

 走らなくていいし、外に出なくてもいいし、簡単だし、これを続けてみることに決めた。

 カミサンのいない時間にやろうとしたのだが、やはり効率が悪いので、仕方なくカミサンに報告して行うと、早速チェックが入る。

「この部屋ちょうどいいわね。へー、パナソニックのこんなパソコン、持ってたんだ」
「バッタ物だろうな、2万5千円位で買ったんだ。いいだろ~」
「身体固いわね」
「そりゃそうだ。ううう…」

 これでもう、カミサンがいても大丈夫、堂々とヨガを行うことができる。

 今日で3回目か4回目かだったけれど、上手くなるとかそういうものではない。

 その都度「整え」て、そのうち基礎代謝が上がればもうけもの位の軽い取り組みである。

 それなりにリラックスして、整うことはできているようないないような。

 ヨガ教室に行かなくとも、広い部屋があってよかった。あっても私のようなじじいが行くところじゃないだろうし、お金もかかるだろうから、プライベートルームで行うことができてよかった。

 今は寒い時期だけれど、やはりうっすらと汗が滲むし、10分きちんとやるとへろへろだ。

 この部屋にはエアコンがないから、この先は大変かもしれない。

 いつまで続くかのお楽しみである。