大腿骨骨折

 一昨日の土曜日、義父が台所で倒れた。

 床に水をこぼし、拭き取ろうとしたところ、倒れてしまったとのこと。

 義父の体重は、今でも90キロ以上ある。

 私とカミサンとで起こそうとしたのだが、どうにもならない。

 いつもデイサービスでお世話になっている介護事業所から、24時間対応の緊急連絡窓口の電話番号をもらっていたので、悪いとは思ったがここに連絡した。

 土曜日なので少し時間がかかると言われたものの、しばらくすると、きちんと白衣のユニフォームを来た介護士の方が来てくれた。カミサン曰く、一番はじめの打ち合わせの時に来てくれた、介護士の中でも偉い人だと思う、とのことだった。

 彼女は、三人でベッドまで運びましょうと言い、毛布の上に載せて引きずって運ぼうとしたが、何やら義父の様子がおかしい。

 私が起こそうとした時もそうだったが、身体を動かそうとすると足の左側がとても痛いと言う。

「あ、折れてるかもね… 救急車呼びましょう」

 ベッドへの移動は辞めて、救急車を呼ぶことになった。このコロナ禍で心配だったが、すぐにサイレンを鳴らして救急車がきてくれた。

 救急車を呼ぶ際、妻から介護士の方に電話を代わり、彼女はタブレットを見ながら、義父のデータを電話で伝えていた。その際に、体重は100キロ弱あるとも伝えていた。

 そのせいか、救急車以外にもう一台、真っ赤なピカピカの消防車がやってきて、中からは消防士さんの制服ではなく、水色の制服を着た応援の方達が沢山出てきてくれた。運転手さんも合わせれば10人くらいはいたかもしれない。

 手際よく家から運び出し、50万円以上しそうな立派なストレッチャーに乗せ、いざ病院へと搬送となった所で、やはり問題は搬送先の決定だった。コロナ禍で医療も逼迫している現在、そして時間外の今、緊急に診てくれる病院があるかが心配だった。リーダーと思われる方が私の所にも来て、頑張って聞いてみるけれど、もしかすると遠いところになってしまうかもしれません、行き先は同乗している奥さんから聞いて下さいね、と言われた。

 妻からの電話は意外だった。

 一番近くの、いつも義父が通っている大きな病院へ搬送してくれることになった。ダメ元で聞いてくれたらしいが、受けてもらえるとの返事をもらい、こちらとしてはとても助かった。

 土曜日の午後の緊急搬送だったが、症状の確定と説明を受けるまでにはそれなりに時間がかかった。

 検査の結果、やはり大腿骨が折れており、手術をするにも、義父はペースメーカーが入っており心臓が悪い。糖尿病でも倒れたことがあり、腎臓も患っている。影響で肺も悪い。そしてとどめに血管が細いので、仮に手術をするにも、これから手当をしていくにしても、点滴を入れるのが困難なため、喉の横からカテーテルを入れて道を作る必要があるので、まずはこの処置をします、来週月曜日に、各科で話し合いをして、手術をするかどうかの結論を出し、手術となれば来週中に行いたいと思います。とのことだった。

 本当に、医療従事者の方達には頭が下がる思いである。

 義父は相変わらずで、妻が通帳を見ると、残高は数万円しかなく、貯金も全くない。私だって蓄えなどない。今後どうなるのかはわからないが、なるようにしかならないから心配するのはやめようと、カミサンと話をしている。