昨日夜、カミサンと一緒に、義父の入院する病院に行ってきた。
退院し、施設に入るにあたって、お話しておきたいことがあるので、とのことだった。
担当医は、知らぬ間に変わっていた。彼は私たちに自分の名前を告げるでもなく、話をはじめた。
その他に、カミサンが、あの看護師さんは一番感じがいい、と言っていた、おそらく看護師さんの中でもベテランと見られる方と、私もやり取りをしていた、退院支援の看護師さん、合わせて5人での話し合いだった。
やはり病院側としては、私たちが義父に対して、今後どのような支援を希望しているのか、という事が重要なようだった。かつてお話しをしていた医師には散々こちらの状況を説明してはいたのだが、今回は担当が変わってしまい、直接お話した事はなかったので、私たちの意向を簡単にお伝えした。
また、私たちがインターネットや電話を使って何とか調べ上げ、仮に申し込みをしてきた介護施設についてや、介護施設全般の状況についても、医者側から見た見解のお話があった。
その施設は、時期を同じくして、病院側からも他の患者さんが入れないかどうかの打診をしたのだけれど、見送りになったとのことだった。また、価格面でも他の施設と比べると低価格の設定で、本当に申し込みができてよかったですね、申し込みのタイミングがとてもよかったのだと思います、との、医師側からの見解だった。
実際にこの施設には患者が何人かおり、この医師は、こちらの施設に月に二回、往診に行っているのだと言う。
義父は今、要介護のレベルの区分変更を提出しているが、看護師さんに聞いてみたところ、やはり要介護4になるだろうとのことだった。この医師が診ている患者さんは、これほど症状が重い方ではなく、比較的元気な方が多いとも言っていた。
医師が言うには、ネットを探し、ホームページを見てみると、どこも同じような文言が並び、同じサービスが受けられると思ってしまうが、実際にはサービスの質に違いがあるのだという。この医師は実際に様々な施設に往診に出かけているので、その事を身をもって感じているはずで、その医師が言うのだから、これは紛れもない事実なのだと思う。
例えば、月に20万円払わなければならない施設でも、医師が見ると、このようなサービスでいいのかな、と思うレベルの施設もあるのだという。反面、それなりの価格であっても、サービスがきちんとしている施設も多いのだという。
こればかりは、実際に行って、状況をこの目でみなければわからないとのことだった。私は「経営会社によって違うんでしょうか?」と質問してみたのだが、決して会社毎に違いがあるわけではなく、事業所によって、いらっしゃるスタッフさんの状況や、配置状況などによって、違ってくるのだと思います、との返事だった。
そして、実際に私たちの状況についての見解があり、医師からは、「その価格で、こちらの施設からオッケーが出たのであれば、とてもタイミングと運がよかったのだと思います。比較的元気な方が多い施設ですが、ご家族の意向を踏まえれば、安心してお任せできると思います」とのことだった。
既に、来月はじめに、「じちょう」と呼ばれる、(おそらく事情調査の文字を取って言われる専門用語で、事調だと思う) 段取りが行われていた。施設側の担当者がこちらの医院にやってきて、義父の実際の状況を調査するのだという。既に要介護認定の区分変更も提出(おそらく前ケアマネが)してくれているし、おそらくは要介護4になるだろうし、問題はないとは思うのだけれど、その担当医師は、「時々大どんでん返しがあるのですけどね」などと言い、私たちの不安を煽ったが、抑えとして一カ所、私たちの希望する施設から万が一断られた場合には、こちらがありますから、と、他の施設を紹介してくれた。
施設からの連絡もなく、内心断られたらどうしようと、とても心配していたのだが、今回話し合いをして、今の状況がわかり、カミサンも私も安心した。これで彼が家に帰ってくる可能性はゼロになった。
しかし感じることは、どれだけ彼は今の介護と医療のシステムの恩恵を受けているのだろう、ということだ。今回も仕事を休んだ私、カミサン、二人の看護師、一人の医師が、おそらく勤務時間外にこうして集まり、彼のために話し合いをしている。これを費用換算したら、いったいいくらになるのだろう。
それだけ、彼の裏ではお金が渦巻いているということに他ならない。
こんな見方しかできなくなってしまっている私もいけないとは思うが、これが日本の医療と介護の現実なのである。