私の家の上空は、白鳥の通り道になっている。
毎朝、近くの川から、近くの田んぼへと移動する白鳥を見ることができる。夕方になれば、その逆もである。
震災後に田んぼが埋め立てられ、復興支援住宅が建ったことや、最近では、近く(といっても結構ある)の田んぼを埋め立てて、広大な貨物ターミナルを作っているので、その影響もあり、少しコースが変わってしまい機会は減ったものの、まだ何とか見ることができる。
彼らはいつも、独特のラッパのような音で鳴きながら飛行する。
寒さも少し落ち着いた昨日の朝、やけに大きな声で鳴いているなと思い、空を見上げた。
とっさにポケットの中からスマホを取り出し、動画を撮影しようとしたものの、スマホの調子が悪く、それは叶わなかった。
撮影を逃してしまったので、自分の目で確認したところ、驚いた。
彼らはいつもと違い、かなり高い所を飛んでいた。いつもは5-6羽の集団で飛んでいるのだが、今回は見事なV字型になっており、一辺に20羽以上、合わせれば50羽以上はいたと思う。
それらが全て声を出していたので、いつもと違い、かなりの迫力と存在感があった。
久しぶりに晴れた冬の終わりの真っ青な空の中、朝日に照らされ、いつもとは違う方向の、北へ向かって飛んでいった。
そうか、帰るんだね…
彼らは毎年毎年、寒くなる頃にやってきて、暖かくなる寸前にきちんと北へ帰って行く。本当に不思議だ。
いつも私は、復興でかさ上げされた道路をトラックで走りながら、何もない田んぼでひなたぼっこをしている彼らを観察している。餌を探している者もいるにはいるが、ほとんどが冬のあたたかい日差しを受け、長い首を折りたたんで、気持ちよさそうにくつろいでいる。
収穫後、何もない田んぼの中に、あれだけの数の白鳥を養うだけの栄養分があるということは驚きだし、これから長い時間をかけて目的地に向かって飛び続ける、その能力には、畏怖の念すら抱いてしまう。
自然の中で長い間営みを続けている生き物の力を見せつけられた感じがした。
白鳥に元気をもらったので、私もぐずぐずと理由をつけて先送りにせず、今やることはきちんとやらねばと思い直し、玄関ドアの修理と、ランクルのナンバー灯修理をスムーズに行うことができた。
玄関ドアは、今の中国製と古い日本製品の仕様で少し違いがあり、その加工に少しだけ手こずったが、何とか上手くできた。ランクルのナンバー灯に関しては、何の事はない、裏の配線が抜け落ちていただけだった。もっとよく観察しなければ、余計なストレスばかりかかってしまうなと反省しきりである。
昨日会社から電話がかかってきて、月曜日も仕事がなく休みになった。時間ができたので、いろいろと考え事をしながら、これからのことを一歩一歩進めていこうと思う。