ブルーインパルス

 4号機の前の4列目くらいにいるよ

 友人女子からのLINEは何だか意味がよくわからなかったが、とりあえず進む。それにしても人だらけだ。広大な基地の中ではあるものの、人が沢山歩いているので、いつもトラックから見ていたような広さは感じない。

 でも、ライブ会場や人気の催事のような密集度はなく、晴天の中、なかなかの開放度だ。ここを歩いているだけでもストレス解消になる。

 しばらく歩いていると格納庫があり、さらに進むとブルーインパルスの戦闘機が並んでいる。尾翼に数字が振ってあり、礼儀正しく横一列に飛行機が並んでいる。ここだ。

 早速4号機の前に行くと、友人二人がいた。そして少し観察すると、驚いた事に、このブルーインパルスにも推しがいるようで、「〇号機、何とかちゃん、がんばれ~」とか何とかデザインされている、推し活必須の「うちわ」を持っているおばちゃんが、最前列に並んでいる。

 女子からのLINEにあった〇列目、というのはやはり重要なようで、前にいればいるほどよく見える。ブルーインパルスは空を飛ぶんだからそんなのは関係ないだろうと思っていたのだが、そうではなくて、ここから儀式をして、戦闘機に乗り込んで、エンジンをかけて、出発して、空でメインの展示飛行をしてがんばって、帰ってきて、戦闘機を再び並べて、儀式をして戦闘機を降りて、というような事も、大事なコンテンツのようだ。

 あたし実は、制服フェチなの。

 同級生女子が言った。警察官や自衛隊、消防が大好物なのだという。他人の好みはそれは他人にはわからない。あんな昔かわいかったモデルか女優か芸能人のようなこの子も、実はこんな好みがあるのである。

 会場は暑かった。用意されていた軽食を食べるのにも一苦労、冷たい飲み物は途中で売り切れ。トイレは男性に限って言えば、不自由はしなかったけれど、いかんせん広すぎて歩くのが大変だった。

 ブルーインパルスの演技をはじめて生で見たのだが、やはりすごい。機体をあのスピードで、お互いがぶつからないように、同じ間隔になるように保つのは、至難の業だろう。そして更にぐるぐる回ったり、上昇したり、花開いたり、ハートや星を描いたりなどもするのだから、さすがである。

 ブルーインパルスとは別に、F2とF16という戦闘機も展示飛行をしてくれたのだが、これも圧巻だった。はらわたに刺さるような物凄い音がして、物凄いスピードでくるくる回ったり、上昇したり、あんなことをしたら失神するだろうというような飛行を見せてくれた。こちらもまた、面白かった。

 このような日本や世界にも誇る事のできるイベントが私の住んでいる地域にはあり、毎年開催されていて、日本中からマニアが集まっている事を知ってはいたのだが、いざ体験してみると、感無量だった。

 すっかり地域に根付き、出不精になってしまった私を連れ出してくれた友人に感謝である。

 これは仕方ない事だけれど、やっぱり最後、演技が終了し、観客が電車に乗って帰るのが、とても大変である。それこそ数百メートルもの長い列になっていて、電車になかなか乗ることができない。そもそも電車があまり来ないし、来ても4両だし、駅で入場規制もしているしで、なかなか列が進まない。

 一日中外にいて、日に当たっていたので、腕が久しぶりに日焼けをしてしまい、今でも少し痛い。

 それでも、楽しかった航空祭。

 関係者の皆様、どうもありがとう。

 友人たち、どうもありがとう。