遠く離れて暮らす両親との繋がり: 母の日の電話

 実家から電話がかかってきた。

 いつもは私の携帯電話にかけてくるが、昨日は家電だった。

 カミサンが手配してくれた母の日のプレゼントが届いたようだ。

 母は私たち夫婦に対して、いろいろと遠慮してしまう性格なので、滅多に電話で喋ることがない。旅行に行ったり、このような母の日だったりの時だけである。

 母は昭和10年、文京区小石川産まれ。

 兄も弟も、姉も妹もいる環境で育った。

 電話口の声は、嬉しそうにしているものの、あまり元気がない。

 以前から鼻が痛いと言っていたが、これが慢性的になってしまっているよう。また、入れ歯を入れていないらしく、話し声もかなりふにゃふにゃになっている。

 でも、元気だからいい。90近くになっても、夫婦2人で暮らしてくれているのは、私たちにとってはありがたい限りだ。

 電話口の後ろでは、父が何やら騒がしい。いつもそうで、私に何かが言いたいようだ。

 電話をかわると、先日薬局のお姉さんの紹介で、地域の包括支援センターの人と話をしたのだという。家まで来てくれて、名刺とパンフレットをもらい、とりあえず話を聞いたのだそうだ。

 以前、父がこちらから行ってみた時には、夫婦でご健在なので、みたいな感じで受け付けてもらえなかったと言っていたが、さすがに買い物にも困るような状況になってきたので、行政の支援も受けられるのようになったのかもしれない。

 ただ、この支援を受けるのを母が嫌がっているのだという。

 母はこのように、自我が強い。

 とりあえずは家に来てもらって話を聞いたので、これから母とも話し合って、今後のことを進めていきたいと、わざわざ父から報告があった。

 息子としても、一安心といった所だ。

 これからどうなってしまうかわからないけれど、何とか元気に頑張って欲しいと思う。
 もっと頻繁に帰省しようと思いながら、数十年が経過してしまった。

 本当に申し訳ない。