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 義父はもう、この家には帰ってこないことになった。

 しかし、なかなかすぐには切り替えることができない事もある。

 家はもちろん、義父の名義だ。帰ってこないからと言って、名義を替えることはないだろう。表札もそのままある。

 固定資産税も、もちろんかかる。数ヶ月にわたって義父の通帳から引き落とされているが、これは仕方がない。

 今問題なのは、固定電話とインターネットの回線だ。

 一応病院にはいるものの、リハビリをしたところで、立ち上がってこの家に帰ってくることはない。車いすでも無理だ。かといって、長い間繋がっている固定電話とネット回線を解約してもいいものかどうか、迷ってしまう。家とセットのような気がしている。ちなみに私達は、自分達の名義で、別に回線を引いている。

 もう一つは携帯電話だ。義父はベッドまで持って行ってはいるものの、病状からして、私達との連絡と、一部の親戚との会話をする位で、殆ど使ってはいないと思う。

 現実問題として、ドコモケイタイと称し、毎月2万5千円、二か月で5万円が口座から引き落とされている。こんな無駄使いをしていては、施設に入ろうにも入ることができない。

 今の状況で、同居の親ではあるものの、他人の携帯電話の料金プランの変更、もしくは解約手続きができるのか、これもまた複雑な決まりがあり、一筋縄にはいかない。

 一番はじめ、入院したばかりの時は、意識もハッキリとしており、義父も家に帰るつもりでいたからなのか、リハビリもそれなりにしており、電話もできるし、普通に過ごすことができていた。ドコモに電話で問い合わせると、委任状を書いてもらうことで、プランの変更はできるとのことだった。

 委任状を持って、ドコモに行ったのと同じくらいの時に、義父の状況が悪化した。手術をして、殆ど寝たきりのような状況になってしまった。遠くの日付の予約を取り、カミサンと一緒に委任状を持ってドコモショップに行ったのだが、「実際の携帯電話がなければお父様の電話の手続きはできないんですね」とのことで、何もできずに帰ってきた。

 今回は万全を期して、彼の携帯電話を持って、ドコモに行こうと思う。その前にもう一度、確認の電話をしなければとも思っている。

 考えている所では、全てを一度解約し、私達の名義で一番安いプランの電話を作り、それを彼に渡そうかと思っている。とにかく2万5千円/月 は高すぎる。

 これからもいろいろとやらなければならないことが出てくるとは思うけれど、何とか夫婦で力をあわせて、一つ一つ解決して行こうと思っている。